「カテゴリ:家を買った、建てた際の経験談やエピソード」の最近のブログ記事



前回、地震対策としての家具の耐震固定の話について書いた続きです。

今回を(中)として、全3回位でまとめてみたいと思っていますので宜しくお願いします。


前回、まず課題として

1)家具固定用の穴問題。
L字金具で家具を固定する際に、壁に穴を開けるのがイヤ。

2)家具固定用の柱が家具の近所に無い問題。
L字金具で家具を固定するにせよ、石膏ボードへの取り付けでは不安が残る。震度7クラスの地震では、重力加速度3,000ガル=3G相当を超えることも在り得る。100kgの家具ならば300kgの力に耐える固定が必要。つまり、柱への固定が必須。では、家具の裏に柱がなかったらどうしたらよいの?

という位の話がありました。


まず1)に対して、「柱に鬼目ナットを埋め込んで、それを用いて家具を固定してはどうか」というあたりまでを考えてみました(鬼目ナットを使えば、壁に穴は開くけれど単なる穴ではなくネジ穴なのでまだ我慢できそう。家具のレイアウト変更などをしても再利用も可能)。


コレが鬼目ナットです。木材にねじ込んで、ネジ穴を作ることができます。

1本以上の通常の柱(10.5cm×10.5cm)と複数本の間柱(3cm×10.5cm)に対して、柱あたり2個以上の鬼目ナットを埋め込む想定にすれば、最低でも柱は3本、鬼目ナットは6個以上という計算になりますので、地震発生時に家具が300kgの力で引っ張られたとしても、柱一本あたりの荷重は100kg,鬼目ナット1個あたりの荷重は50kgという計算になります。


で、今回は課題の2)、「家具の裏に柱がなかったらどうしたら良い?」について、です。


まずは、家の柱というのがどのくらいの間隔で入っているのか、という話です。


通常、家の柱は、大体45.5cm程度または50cm程度の間隔で入っている様です。


家の設計の規格には「尺モジュール」と「メーターモジュール」というのがあります。

「尺モジュール」であれば、半間90cmごとに通常の柱を入れ、その間に45.5cmの間隔で間柱という石膏ボードなどを固定する柱を入れます。

「メーターモジュール」であれば、1mごとに通常の柱を入れ、その間に50cmの間隔で間柱を入れます。

ツーバイフォーであろうと木造軸組工法であろうと、石膏ボードなどの規格化された内装部材などを使用するために、このいずれかの規格に合わせて設計されているのが通常の様です。


柱や間柱は基本的に上記の様な形で入っていますが、実際の柱の入り方は、家や内装のレイアウトによって異なってきます。

例えば、窓などは幅45.5cm以上あるものが多いですが、窓がある場所には当然柱は入れられませんので、窓の周りに柱を入れ、窓の上下に間柱を入れる形になっていたりします。

壁なども、必ずしも45.4cmや50cmの倍数の長さでは無いですから、壁の両端や途中、いずれかの場所で、一部短い間隔で間柱を入れるなどして長さを調節していたりすることが多いです。


僕の家の建築当時の写真があったので、いくつか例を挙げておきます。


窓の周辺はこんな感じになっていたりします。

左右に普通の太い柱が入っていて、その間に間柱が3本入っています。


奥に見える上げ下げ窓は、均等に柱が入っていないパターンです。


上げ下げ窓の左右に、芯-芯105.25cmの間隔で幅10.5cmの柱が入っています(柱と柱の間の長さは94.75cmということになります)。窓の上下には間柱が入っているわけですが、45cmで割り切れないので、等間隔に2本+4.75cm間を開けてもう1本、という感じで間柱が入っています。


室内の壁はこんな感じになっています。


右手に見えているのは幅約2.9m位の壁なんですが、こちらも45.5cmでは割りきれませんので、手前から、10.5cmの柱-3cmの間柱-柱-間柱-柱-間柱と来て、その隣は狭い間隔で10.5cmの柱が入っています。


ちなみに、柱と柱のそれぞれの中心(芯)の間の長さが45.5cmを基本としている、ということで、45.5cm+柱の太さ10.5cm、ということではありません。


こうやって見ていくと、多くの壁の場合には、少なくとも45cm程度の間隔では何らかの柱が入っているわけで、家具の固定に3本以上の柱を使用したいのであれば、壁側の取り付けエリアとしては90cm程度の幅を見れば大丈夫そう、ということになりそうです(メーターモジュールの場合には1m程度の幅)。

実際は、レイアウトや施工等によって色々と変わってくるのですが、基本で言えばこんな感じでしょう。
拙い絵ですいません。壁と、その中の柱のイメージを2段並べたつもりです。


ここで今度は、家具のサイズを簡単に測ってみます。

37型液晶テレビ-約93cm
タンス-約80cm
戸棚-約80cm

という感じでした。


テレビも戸棚も、柱の位置を意識して設置しているわけではありませんので、80cm、90cmの幅の丁度両脇に柱が来ている、ということは恐らく少ないでしょう。

つまり、柱の間隔が45.5cmだとすると、最大で家具の両脇は柱から22.75cm程度離れていることになります。

そして、家具自体の幅は90cm程度しかありませんので、多くの場合には90cm程度の家具の後ろには、柱は2本しか存在していないことになってしまいます...。



この問題を解消する方法を考えてみたんですが、壁(に埋め込んだ鬼目ナット)と家具の間に、板を入れれば良いような気がします。

幅10cm、長さは90cmよりもちょっと長め位で。厚さは2cm位で大丈夫かな、と考えています。

つまり、こんな感じです。


壁にそって板を横に渡して、その板を、柱3本、6箇所の鬼目ナットに固定します。

で、その板に対して家具を固定するわけです。

コレだったら、板自体を交換すればレイアウト変更にも柔軟に対応できますし、板は交換ができるので、必要ならば気兼ねなく穴あけ等もできます。

無垢素材のいい感じの板を使えば、インテリア的にもそんなに悪く無いのでは無いかと。


これで、2)の「家具固定用の柱が家具の近所に無い問題」も解消できそうです。


上記の前提で、次は実際に、

・柱への鬼目ナットの埋め込み。
・家具固定用の板の手配、穴あけ、壁への取り付け。
・家具固定用の板への家具の耐震固定。

あたりを実施した結果をご報告してみたいと思います。


部材の手配の関係がありますので、次回は一週間後位でしょうか。

家具の耐震固定シリーズ」、何だかだらだらと来ている気がしますが、次回で最終回にできるといいんですが...。



カテゴリ:


Facebookベージもあります

住宅デザイン.comでは、住宅やインテリアに関する「これイイね!」的な情報を見つけ出してきてご紹介しています。あなたが毎日の生活を送るお家をより素敵な空間にしていくためのお役に立てたら幸せです。


 

住宅デザイン.comの購読にはRSSとTwitterが便利です

住宅デザイン.comの更新情報はRSSとTwitterでお届けしています。常に最高の情報をお届けするように頑張っていますので、住宅デザイン.comをフォローして情報を見逃さないようにして頂けると幸いです。

RSSリーダーで購読する       

昨年の東日本大震災もそうですが、地震は忘れた頃にやってくるわけで、だからこそ、いつやってきても大丈夫なように常日頃からの準備が重要なわけです(図らずも東日本大震災から丁度一年の今日、こんな記事を書くことになったのは、単なる偶然ですが)。

タンスや戸棚、大型液晶テレビなど、大きな地震がやってきた時に倒れたら大変なことになりそうな家具類は、しっかりと壁に固定をしておきたいですが、コレが中々微妙な問題もありまして。


家具の耐震固定には、突っ張り棒などで天井に家具を固定する方法と、家具をL字金具などで壁にしっかりと固定してしまう方法がありますが、突っ張り棒が使える家具は限られますし、安定感からいっても、L字金具での固定の方が安心だと思います。


消防庁のサイトに「家具を転倒させないメカニズム」が書いてありましたので、参考にリンクを張っておきます。

コレによると、「家具の重量と同じ力が(家具の)重心に水平にかかった場合、家具を頂部で壁に固定するには、家具の重量の約1/2の力が必要」とあります。

つまり、たとえば、100kgの家具が動く程度の地震があったときには、50kgまで耐える力で壁に固定してあれば大丈夫、ということですね。

これは地震の大きさによっても数値は異なってくるんだと思うんですが、震度6強、震度7などのかなり大きな揺れの場合、「家具が動く」程度ではなく、「タンスが吹っ飛ぶ」位の動きになると思いますので、その場合にはもっと強い力で家具を固定しておく必要があるわけです。

そうすると、やはり突っ張り棒ではダメで、L字金具なのかな、と(必ずしもダメかどうかはよくわかりませんが、強さという意味では弱いとは思います。石膏ボードの天井だと、激震の時には突っ張り棒が天井を突き破ってしまう、という話もありますし)。


でも、これは僕だけなのか、皆さんそうなのかよくわからないんですが、L字金具などで家具を固定するために壁に穴を開けるのってちょっと抵抗ありません?

少なくとも僕は結構抵抗がありまして、大きな戸棚等であれば、まあその背面の上側はあまり目に付かなさそうなので、我慢できそうな気がするんですが、それでも、「家の中のレイアウト変更等をしたら、その穴がおもいっきり残ってしまって気になるんじゃないだろうか」という様な下らないことを考えてしまいます。

テレビなど、もっと頻繁に動かしそうな家具の場合は、尚のことですね。


しかも、もう一つ問題がありまして、L字金具で家具を固定する場合にも、その金具を、壁の石膏ボードに固定しても(多分)あまり意味が無いわけです。

先程の消防庁の話を参考に考えてみれば、100kg位あるタンスや冷蔵庫をL字金具で固定するのであれば、最低でも50kgの力、余裕をみて考えるのであれば、100kg以上に耐える力で壁に固定する必要があるわけで、仮にコレを2個の金具で固定するのであれば、金具1つあたり50kgに耐える様な場所に固定する必要があるわけです。

上記では「100kgのタンスに対して、100kg以上の力に耐える必要」と書きましたが、実際のところ、震度7の激震では、重力加速度は600ガルから3,000ガルにもなる、ということです。

(私は素人なので、コレが正しい見解なのか自信がありませんが)、980ガル=1G、という計算なはずなので、600ガルの地震であれば、100kgの物体に対しては約0.6G、つまり約60kgの力が加わることになりますし、3,000ガルの地震であれば、100kgの物体に対しては約300kgの力が加わる、ということになるはずです(ちなみに、阪神淡路の時が800ガル、東日本大震災の時は3,000から4,000ガルだったそうです)。

仮に上記レベルまで耐える想定にする場合、100kgの家具に対して300kgから400kgの力に耐えうる固定を行わないといけない、ということになります。

これはもう柱に固定するしか無いのでは無いかと。

じゃ、家具の後ろの良さ気な場所に柱がなかったらどうしたら良いんだろう、ということにもなってきます...。


こんなつまらないことで悩んで、必ずやっておくべき地震対策を実行にうつせない、というのはホントにマズい状態だと思いますので、今回きっちり整理して、おウチの重い家具どもをしっかりと固定しちゃいたいと思います。


で、この、
1)家具固定用の穴問題。
2)家具固定用の柱が家具の近所に無い問題。
を解消できそうな方法を考えてみました。


まず1)についてですが、柱に鬼目ナットを埋め込んでみてはどうかと。

鬼目ナットというのは、木材に埋め込んでネジ穴を作れる金具のことです。

こんな形をしています。


写真のものは、M4サイズのDタイプという「つば付き」のもので、長さは20mm、直径は8mmです。一個10円です。

もっと太いタイプのものもあるんですが、細い間柱(2.7cm〜3cm程度)にも使用することを想定すると、この位の大きさが限度かな、と。


5,000円位の安い電動ドライバーにドリルの刃をつけて直径6mm位の穴を開け、六角レンチでねじ込むと、M4のネジを差し込めるネジ穴が作れます。





試しに、幅3cm、奥行き2cmの角材に埋め込んでみました。


細い角材に埋め込むと、角材側が割れてしまったりするかな、と思いましたが、下穴を開けて埋め込んでいるので、全然大丈夫そうです。


この鬼目ナットを使っても壁に穴が開いてしまうこと自体には変わりは無いんですが、家具を移動した後に残る穴が単なる穴では無くネジ穴になりますので、見た目的にかなりマシになるかな、と。

しかもこのネジ穴、家具を移動したりしても何度でも再利用可能ですので、そこら辺も嬉しいのでは無いかと。


この鬼目ナットを、普通の柱(10.5cm位)とその周辺の間柱(3cm位)にいくつか埋め込んで、それを使って家具を固定するアイディアで進めてみたいと思います。


ここで先ほどの地震の重力加速度の話を考えてみると、このアイディアで仮に300kgの力に耐えるためにはどうしたら良いんだろう、という話になるわけですが、通常の柱(10.5cm×10.5cm以上のもの)ならば、(本来縦の力に耐えることを想定している柱が、横向きの力に対してどの程度耐えられるか、という問題はありますが)少なくとも100kgや200kgの力には耐えうる様に思えます。

逆に、間柱は3cm×10.5cm等の「平べったいの角材」イメージですので、こちらに100kgを負担させるのは若干不安が残る気も...(まあ、3cm×10.5cmといえば、結構しっかりとした角材ですので、100kgの大柄な大人がぶら下がっても大丈夫な位の太さではあるとは思います。長さは違いますが、昔の家で使われていたしっかりとした木の表札などは、厚さ3cm×幅10cm位なので、そんな感じですかね。試しに上記の幅3cm×奥行き2cm×長さ90cmの角材をテーブルの間に渡して体重約60kgの僕がぶら下がってみましたが、しなりはすれど折れませんでした。木材の種類によっても強度は異なりますが、家の柱に使われるような材質で、この5倍の幅がある間柱ならば、少なくとも100kg程度の力で簡単に折れたりはしないのではないかと思います)。


上記を踏まえて、最低限1本以上の通常の柱と複数本の間柱に対して、一つの柱あたり2個以上の鬼目ナットを埋め込む形を想定すれば、震度7、3,000ガルの激震の地震が来たとしても、柱一本あたりの耐荷重が100kg以下、(柱に対して2cmの深さで埋め込んだ)鬼目ナット一つあたりの耐荷重が50kg以下、ということになるので、ある程度現実的な耐震固定の数値に持って行ける様に思えます。


ちょっと長くなりましたので、続きは近日中に(前、、後、3回位で)まとめてみたいと思います。


(今回の記事の中では、耐震固定に対しての私個人の考え方や計算を示しています。消防庁のサイトなどを参照している内容もありますが、あくまで素人考え、素人の計算に基づくものですので、仮にこちらの記事を何らかの参考にする際には、併せて専門知識を持った方のご意見を確認するようにしてください。また、当方の考え違い、誤り等ありましたら、ご指摘をいただけますと非常にありがたいと思いますので、よろしくお願い致します。)



カテゴリ:


Facebookベージもあります

住宅デザイン.comでは、住宅やインテリアに関する「これイイね!」的な情報を見つけ出してきてご紹介しています。あなたが毎日の生活を送るお家をより素敵な空間にしていくためのお役に立てたら幸せです。


 

住宅デザイン.comの購読にはRSSとTwitterが便利です

住宅デザイン.comの更新情報はRSSとTwitterでお届けしています。常に最高の情報をお届けするように頑張っていますので、住宅デザイン.comをフォローして情報を見逃さないようにして頂けると幸いです。

RSSリーダーで購読する       

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42


    follow us in feedly rss facebook twitter


炎のある生活:暖炉っていくらかかるの?

炎のある生活:暖炉の設置   

神奈川県川崎市の暖炉専門店でのお見積もり事例と、煙突や周囲を含む施工図面をpdfにしてあります。ご参考にどうぞ。ダウンロードはこちらから



炎のある生活:暖炉っていくらかかるの?

  

神奈川県川崎市の暖炉専門店でのお見積もり事例と、煙突や周囲を含む施工図面をpdfにしてあります。ご参考にどうぞ。ダウンロードはこちらから

 
・『©』表記及び所定のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表記のある記事の写真は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスにより著作権者が複製、頒布、展示、実演を許可したものを使用しております。
・『via』表記のある記事の写真は、表記サイトからの引用です。
・『©』表記、所定のクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの表記、及び、『via』表記のある写真の著作権は、表記の著作権者に帰属します。
・記事本文は当サイトにより記載したものであり、記事内に特に記述がある場合を除き、写真引用元サイト原文とは関係ありません。

© 2009-2013 住宅デザイン.com. All Rights Reserved.