「カテゴリ:家を買った、建てた際の経験談やエピソード」の最近のブログ記事



ウチの自宅の話なんですが、住んでみてから「こうしておけば良かったな」と思っている場所を一箇所思い出したのでちょっと書いておきたいと思います。


僕のウチの玄関は細長い土間の様になってます。


大した広さの土間では無いんですが意外と重宝してまして、「屋内に持ち込むのはちょっと躊躇するけれど、屋外に置きっぱなしにしたくない」みたいなものを置いておいたりするのに役立ちます。

左に見えている引き戸の中は靴類とか箒とかを入れておくためのウォークインクローゼットなんですが、ここも土間状になってまして、埃っぽいものとかでも気にせず仕舞えて中々便利です。


間取り図でいうとこんな感じです。


中央上部の緑の部分が土間状の玄関、右手のオレンジの部分が玄関から上がった屋内、中央下部の水色の部分が玄関のウォークインクローゼット、で、玄関の土間とクローゼットの間の赤い部分がクローゼットの引き戸です。


例えば自転車をメンテナンスしたい時とかにもこの土間スペースに持ち込んで作業が出来ますし、ゴミが沢山出てしまった時などは翌朝出す予定のゴミ袋をこのエリアに置いておくとか、そういったことにも使ったりしてます。


この土間エリアの発想自体は「あたり」だったと思ってますし、作って良かったと思ってるんですが、ディテールの部分で相当な誤りを犯してまして...。

それは何かと言いますと、「クローゼットへの動線」なんです...。


このクローゼット、土間エリアの中にあるもので、靴を取りに行くのにいちいちサンダルを履かなきゃならないんです...。

で、靴を取った後でサンダルを置きに上り框(がまち)までちょっと戻らなければならないという...。

お出かけ時の動きで言うと、こんな感じになります。


「戻る」という動作がとっても無駄なんですよね...。

で、何となく面倒くさいので、よく履く靴を上り框のあたりに置いておくということになったりして、何だか本末転倒な状態になってたりします。


今思うと、家を建てるときに「こんな感じの土間状のスペースが欲しい」という話を建築家の方と話していて、それに対する建築家の方のコメントに「おや?」と思った瞬間があったんですが、その時には、どこらへんに「おや?」と思ったのかがはっきりと分からなくて曖昧にしてしまった記憶があります。

細かくは覚えてませんが、コチラから
「玄関部に外の様に使えるちょっとしたスペースが欲しい」
という意向を伝えたところ、建築家の方は
「なるほどなるほど、要するに"突っ掛け履いてテッ・テッ・テッ"みたいな感じで行きたいわけですね」
みたいなことを言ってまして、
(ん?別にそんなコトしたい訳じゃなくて、「外の地面と同じ扱いの屋内のエリア」が欲しいだけなんだけど...)
と思った記憶があります。

そこの行き違いがコレだったわけです...。


確かに場所としては僕の目的を果たす場所ができたんですが、生活してみると動線的には問題があって、建築家の方もこの問題のある動線を良しと考えてしまったという...(先方も問題ありと思っていたのかもしれないんですけど、「施主が良しとするんだから良いんだろう」位に思ってたのかもしれません)。


動線って実際に移動する距離だけの話じゃなくて、当然それは基本中の基本ではあるんですけれど、そこを動いて何かをするときに発生する(出かけるために靴を取って履くという)一連の動作の連続性まで含めた話なわけじゃないですか。

毎日出かける度に「戻る」ステップが入る動線というのは、施主がどう言ってようとも「問題あり」と指摘してくれないと...。


たまたまこの記事を目にした「未来の施主さん」の家でこういったのと同じ状況、同じ問題が発生するということがあるかどうかはわからないですけれど、「根っこが同じ」な問題が起きる可能性はあると思うんですよね。

作り手にもよくわかってないことは沢山あるわけです。
素人である施主にはよくわかっていないことがもっと沢山あるわけです。
だから、ホントは「できる限り細かく疑って考えてみる」ということが必要なのかな、と。

対処療法的に考えるならば、建築家さんや工務店さんが出してくれた設計図面をみるときに、少なくとも自分、奥さん、子供たちの朝から晩までの生活/行動を、できるだけ細かくイメージして図面の上で検証してみるということは1つの有効な手立てになると思います。


ちなみに、今だからこそわかる『うちの玄関、ホントはこうすれば良かったはず』と思っている図面も上げておきたいと思います。


現在のレイアウトと殆ど変わらないんですが、クローゼットの出入口を屋内の方にももう一個作って、クローゼットの中も半分程度は土間でなく普通の床にしておけば良かったかな、と。

こうしておけば、屋内側の黄色い部分の出入口からクローゼットにそのまま入って、靴を取って、上り框のところで履いて、出かける、という一連の動作をスムーズにすることが出来ます。

レイアウト上は大した違いでは無いですが、日々の生活としては相当違います。


ここまで書いて思い出したんですが、この「誤り」が発生するまでにはもう一つ落とし穴があったんです。

ウチの妻が「なんでも隠したい病」に罹患してまして、「クローゼットを閉じられる様にしたい」という要望を持ってたんです。

上の図面をみてもわかるように、そもそもこんな造りにするんだったら、最初からクローゼットエリアを玄関と一体化したオープンな感じにしておけば良かったわけです(いろんなものを収納するエリアなので全部オープンというわけには行きませんが、壁で仕切るのでは無く、一体のエリア内に折戸とかを上手く使って収納を作れば良かったのかな、と)。

で、建築家さんもそんな風に考えたのかもしれませんが、
「収納エリアはクローズドなウォークインクローゼットにしてくれ」
という話が出てきて、
「じゃ、『こうすれば良かった(案)』だと屋内側には扉が作れなくて丸見えになっちゃうからダメだね」
とか考えたのかもしれませんね。

で、そこに「突っ掛けテッ・テッ・テッ」が出てきて混乱して、「じゃ、コレで良いじゃないの」ということで今のレイアウトになったのかもしれないな、と。

全部想像ですけれど、「1つの顕在化した失敗の根本には複数の誤りがある」みたいな話もありますので、当たらずとも遠からずな気がします。


ちなみに、それを踏まえた『こうすれば良かった(案)その2』も考えてみました。

こうです。

クローゼットの中を半分くらい土間にするという案は前回と同じですが、扉を土間側に作る様に変えてみました。

で、このクローゼットと土間の間を三枚引き戸か何かにしておいて、手前からも奥からも中にアクセスしたり、必要に応じて開け放ったり閉じたりできるようにすれば、全部の問題が解消できたのかな、と。


ここまで考えてみると、この「最終案」に行き着くまでには
・土間エリアと土間クローゼットの作成
・妻の要望
・動線の正常化
という3つの目的の明確化というポイントと
・僕と建築家さんの意識のズレ
・「おや?」と思ったのにスルー
という2つの失敗があったことがわかります。

3つの目的が明確になってさえいれば、2つの失敗があっても目的に一致しない部分で問題があぶり出されて回避できたと思いますし、3つの目的のどれかが明確にできていなくても、2つの失敗のいずれかが発生しなければ、そこで問題が明確になって、やはり回避できたのではないかと思います。

何だか問題点摘出の方法論みたいになってしまいましたが...。


どんな家にも失敗点はあると思うんですけれど、図面(案)を書いている段階でしっかりと意識合わせや確認の手間を掛けるか、図面(案)が出来上がった段階で検証の手間を掛けるか、どちらかをできるだけしっかりとやることが重要なんでしょうね。

どっちかをしっかりとやっておけば、大抵の問題は回避できるはずだと思います。


不幸にしてどちらのステップでもスルーしてしまった問題点は、顕在化してしまう可能性が高いですね...(ちなみにコレも方法論の話になりますが、本当は問題点の摘出工程も一定のルール作ってを決めておいたほうが良いはずです。あるものは上流工程で摘出して、あるものは下流工程で摘出して、という風にごっちゃにしていると、どちらの工程でも摘出できない問題が多発する可能性がありますので。基本は(1)最上流工程で「目的」として明確化しておいて、(2)図面を書くという設計の前半段階で「機能」として目的にかなっているかを確認、(3)図面が上がった段階で「目的」から落とし込んだ「実際の生活」という最上位のレイヤでの検証、というステップが良いんですかね)。


Photo ©juutakudesign.com



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すいません...予めお詫びしておきますが、「家具の耐震固定シリーズ」、またまた脱線しております。

次回が(下)となりまして、完結編にできるのでは無いかと考えております。
が、実際はどうだか...。


今回は、前回までの「耐震固定用の板を使ってそこに家具を固定する」方式ではなく、単に鬼目ナットを使って、そこにヒートンをつけて家具を固定する方法をやってみましたので、そのご報告です。


そもそも、家具を固定するために壁などに開ける穴に鬼目ナットを使うことで、
・家具を固定するために壁などに開けた穴が、単なる穴よりも気になりづらい。
・家具を移動して、その穴が必要なくなっても、あまり気にならない。
・鬼目ナットを埋め込むので、穴自体が何度でも再利用可能。
というあたりのメリットが出てくるのではないかと考えています(要するに、家具固定の穴を壁に開けちゃうのがちょっと抵抗がある、というだけの話なんですが...)。


で、本来のこのシリーズでは、
1)壁に穴を開けて、鬼目ナットを埋め込む。
2)壁に埋め込んだ鬼目ナットに、無垢素材などの良い感じの木の板を取り付ける。
3)取り付けた木の板に家具を固定する。
という3段階を考えているのですが、今回は、上記の1だけを実施して、埋め込んだ鬼目ナットにヒートンを取り付けて、そのヒートンを使って家具を固定する、という方法を試してみました。


応用場所としては、高いところにある窓の窓枠など、ヒートンの様なものを取り付けてもあまり気にならない様な場所かな、と思います。


今回は、こんな感じの窓枠に、IKEAで買ったANTONIUSというワイヤーフレームの衣類キャビネットを固定してみます。



まずステップ1、窓枠に、鬼目ナットを埋め込むための穴を開けます。

使う鬼目ナットはつばの無いEタイプ、M4径で長さ1cmのものです。

このタイプのM4用鬼目ナットの下穴は5.7mmから6mm程度なので、6mmのドリルで下穴を開けます。



で、開けた穴に、鬼目ナットをねじ込むと、



こんな感じに、M4径のネジ穴を作ることができます。



で、ステップ2として、そこにM4径のヒートンを取り付けると、こんな感じです。



家具を移動などしてヒートンが不要になったら、ヒートンを抜いてしまえば、M4径のネジ穴だけが残るわけで、単に穴が開いているよりもずっと見てくれが良い感じになるかな、と。


で、最後に7mm径位の細い船舶用のロープを使ってヒートンに家具を固定します。



このロープ、耐荷重的には数百kgまでOKとのことで、しかもお値段1mあたり157円(東急ハンズにて)というリーズナブルさです(強い力をかけた場合、結び目が解けるのが先なので、結ぶのはしっかりと結びましょう)。

こういったロープが入手できない場合、ナイロンロープ(15mmとかそれ以上の太さのあるもの)でもそこそこの強度が有るようなので、そういったものを使っても良いかと思います(ただし、ロープをよくあるプラスチックや鉄製の調整アジャスターなどで留めると、ここの強度が弱くて外れてしまうことがあるので、こういった金具などを使わずに結んだほうが良いかな、と思います)。

紐で直接縛れない様な(上手くロープを通すことができない)家具の場合、家具側にもヒートンを埋め込むなどの方法で結ぶか、または、L字金具(カナオレ)やI字金具を使って家具と壁を連結してもよいと思います。


しかし、ヒートンと船舶用ロープの見てくれは、ちょっとイマイチ感がありますね...。

今回はあまり人目に付かない場所だったのでコレで良しとしたいと思いますが、次回は本来の目的である「見た目的な面の向上」を目指して何か考えてみたいと思います。



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