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家具の耐震固定と家のレイアウト変更問題(前)



昨年の東日本大震災もそうですが、地震は忘れた頃にやってくるわけで、だからこそ、いつやってきても大丈夫なように常日頃からの準備が重要なわけです(図らずも東日本大震災から丁度一年の今日、こんな記事を書くことになったのは、単なる偶然ですが)。
タンスや戸棚、大型液晶テレビなど、大きな地震がやってきた時に倒れたら大変なことになりそうな家具類は、しっかりと壁に固定をしておきたいですが、コレが中々微妙な問題もありまして。
家具の耐震固定には、突っ張り棒などで天井に家具を固定する方法と、家具をL字金具などで壁にしっかりと固定してしまう方法がありますが、突っ張り棒が使える家具は限られますし、安定感からいっても、L字金具での固定の方が安心だと思います。
消防庁のサイトに「家具を転倒させないメカニズム」が書いてありましたので、参考にリンクを張っておきます。
コレによると、「家具の重量と同じ力が(家具の)重心に水平にかかった場合、家具を頂部で壁に固定するには、家具の重量の約1/2の力が必要」とあります。
つまり、たとえば、100kgの家具が動く程度の地震があったときには、50kgまで耐える力で壁に固定してあれば大丈夫、ということですね。
これは地震の大きさによっても数値は異なってくるんだと思うんですが、震度6強、震度7などのかなり大きな揺れの場合、「家具が動く」程度ではなく、「タンスが吹っ飛ぶ」位の動きになると思いますので、その場合にはもっと強い力で家具を固定しておく必要があるわけです。
そうすると、やはり突っ張り棒ではダメで、L字金具なのかな、と(必ずしもダメかどうかはよくわかりませんが、強さという意味では弱いとは思います。石膏ボードの天井だと、激震の時には突っ張り棒が天井を突き破ってしまう、という話もありますし)。
でも、これは僕だけなのか、皆さんそうなのかよくわからないんですが、L字金具などで家具を固定するために壁に穴を開けるのってちょっと抵抗ありません?
少なくとも僕は結構抵抗がありまして、大きな戸棚等であれば、まあその背面の上側はあまり目に付かなさそうなので、我慢できそうな気がするんですが、それでも、「家の中のレイアウト変更等をしたら、その穴がおもいっきり残ってしまって気になるんじゃないだろうか」という様な下らないことを考えてしまいます。
テレビなど、もっと頻繁に動かしそうな家具の場合は、尚のことですね。
しかも、もう一つ問題がありまして、L字金具で家具を固定する場合にも、その金具を、壁の石膏ボードに固定しても(多分)あまり意味が無いわけです。
先程の消防庁の話を参考に考えてみれば、100kg位あるタンスや冷蔵庫をL字金具で固定するのであれば、最低でも50kgの力、余裕をみて考えるのであれば、100kg以上に耐える力で壁に固定する必要があるわけで、仮にコレを2個の金具で固定するのであれば、金具1つあたり50kgに耐える様な場所に固定する必要があるわけです。
上記では「100kgのタンスに対して、100kg以上の力に耐える必要」と書きましたが、実際のところ、震度7の激震では、重力加速度は600ガルから3,000ガルにもなる、ということです。
(私は素人なので、コレが正しい見解なのか自信がありませんが)、980ガル=1G、という計算なはずなので、600ガルの地震であれば、100kgの物体に対しては約0.6G、つまり約60kgの力が加わることになりますし、3,000ガルの地震であれば、100kgの物体に対しては約300kgの力が加わる、ということになるはずです(ちなみに、阪神淡路の時が800ガル、東日本大震災の時は3,000から4,000ガルだったそうです)。
仮に上記レベルまで耐える想定にする場合、100kgの家具に対して300kgから400kgの力に耐えうる固定を行わないといけない、ということになります。
これはもう柱に固定するしか無いのでは無いかと。
じゃ、家具の後ろの良さ気な場所に柱がなかったらどうしたら良いんだろう、ということにもなってきます…。
こんなつまらないことで悩んで、必ずやっておくべき地震対策を実行にうつせない、というのはホントにマズい状態だと思いますので、今回きっちり整理して、おウチの重い家具どもをしっかりと固定しちゃいたいと思います。
で、この、
1)家具固定用の穴問題。
2)家具固定用の柱が家具の近所に無い問題。
を解消できそうな方法を考えてみました。
まず1)についてですが、柱に鬼目ナットを埋め込んでみてはどうかと。
鬼目ナットというのは、木材に埋め込んでネジ穴を作れる金具のことです。
こんな形をしています。
写真のものは、M4サイズのDタイプという「つば付き」のもので、長さは20mm、直径は8mmです。一個10円です。
もっと太いタイプのものもあるんですが、細い間柱(2.7cm〜3cm程度)にも使用することを想定すると、この位の大きさが限度かな、と。
5,000円位の安い電動ドライバーにドリルの刃をつけて直径6mm位の穴を開け、六角レンチでねじ込むと、M4のネジを差し込めるネジ穴が作れます。
試しに、幅3cm、奥行き2cmの角材に埋め込んでみました。
細い角材に埋め込むと、角材側が割れてしまったりするかな、と思いましたが、下穴を開けて埋め込んでいるので、全然大丈夫そうです。
この鬼目ナットを使っても壁に穴が開いてしまうこと自体には変わりは無いんですが、家具を移動した後に残る穴が単なる穴では無くネジ穴になりますので、見た目的にかなりマシになるかな、と。
しかもこのネジ穴、家具を移動したりしても何度でも再利用可能ですので、そこら辺も嬉しいのでは無いかと。
この鬼目ナットを、普通の柱(10.5cm位)とその周辺の間柱(3cm位)にいくつか埋め込んで、それを使って家具を固定するアイディアで進めてみたいと思います。
ここで先ほどの地震の重力加速度の話を考えてみると、このアイディアで仮に300kgの力に耐えるためにはどうしたら良いんだろう、という話になるわけですが、通常の柱(10.5cm×10.5cm以上のもの)ならば、(本来縦の力に耐えることを想定している柱が、横向きの力に対してどの程度耐えられるか、という問題はありますが)少なくとも100kgや200kgの力には耐えうる様に思えます。
逆に、間柱は3cm×10.5cm等の「平べったいの角材」イメージですので、こちらに100kgを負担させるのは若干不安が残る気も…(まあ、3cm×10.5cmといえば、結構しっかりとした角材ですので、100kgの大柄な大人がぶら下がっても大丈夫な位の太さではあるとは思います。長さは違いますが、昔の家で使われていたしっかりとした木の表札などは、厚さ3cm×幅10cm位なので、そんな感じですかね。試しに上記の幅3cm×奥行き2cm×長さ90cmの角材をテーブルの間に渡して体重約60kgの僕がぶら下がってみましたが、しなりはすれど折れませんでした。木材の種類によっても強度は異なりますが、家の柱に使われるような材質で、この5倍の幅がある間柱ならば、少なくとも100kg程度の力で簡単に折れたりはしないのではないかと思います)。
上記を踏まえて、最低限1本以上の通常の柱と複数本の間柱に対して、一つの柱あたり2個以上の鬼目ナットを埋め込む形を想定すれば、震度7、3,000ガルの激震の地震が来たとしても、柱一本あたりの耐荷重が100kg以下、(柱に対して2cmの深さで埋め込んだ)鬼目ナット一つあたりの耐荷重が50kg以下、ということになるので、ある程度現実的な耐震固定の数値に持って行ける様に思えます。
ちょっと長くなりましたので、続きは近日中に(前、、後、3回位で)まとめてみたいと思います。
(今回の記事の中では、耐震固定に対しての私個人の考え方や計算を示しています。消防庁のサイトなどを参照している内容もありますが、あくまで素人考え、素人の計算に基づくものですので、仮にこちらの記事を何らかの参考にする際には、併せて専門知識を持った方のご意見を確認するようにしてください。また、当方の考え違い、誤り等ありましたら、ご指摘をいただけますと非常にありがたいと思いますので、よろしくお願い致します。)