家の構造やレイアウト、内装など」カテゴリーアーカイブ

年末のご挨拶と来年(以降に向けて)の抱負



【抱負】ほう‐ふ〔ハウ‐〕 心の中にいだいている決意や志望。「抱負を語る」 (出典:デジタル大辞泉 via goo辞書

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本日は2016年12月28日、水曜日です。今年のポストは本日が最後になる予定なので、今日は、2016年中、いや2015年より前から、ずっと書きたくて何となくもやもやしていたことについて少し書いてみたいと思います。この話、たぶん1度ではまとめきれなくて、何度かに分けて書いていくような内容になると思います。年の最後の最後になって何かを始めるというのもどうかとは思うんですが、ここで書き始めることで、2017年以降も引き続き書いていくことにつなげられればということで。

このサイトでは、主に海外の住宅やインテリアの写真を、その内容についてコラムや雑感のような独自の短い文章を書き添えて紹介しています。一番最初のポストは2009年11月。本業の合間を縫って片手間で始めた当初から実に丸7年以上も経ってしまっているわけで、よくもまあこれだけくだらない文章をだらだらと綴り続けたものだと我ながら呆れそうにもなりますが、いつの間にやらソーシャル関連のフォロワーさんも合計1万を越え、ここまで続けてこられたのもひとえに関係各位、みなさまのおかげかなと思っております。ありがとうございます。

一人掛けソファ&コーヒーテーブルの置かれたスペース スタバ HDR

それで本題ですが、以前から、このサイトを立ち上げたのはなぜか、ここで何をしたいのか、ということについて、いろいろと書きたいし、書きながら同時に自分なりの考えをまとめてみたいと思ってました。

本日、とうとうそれを始めてみたいと思います。

 

いい家に暮らす。それは、高級だったり広々した家に住むということではなくて、その人にとって素敵な、快適だったり居心地が良い空間で暮らすということだと思っています。それは、人生にとって何よりも大切なことの1つです。そういった場所で、家族や友人、仲間たちとコミュニケーションを取りながら過ごす時間。それは、その人の生活や人生の基本的なものを構成する大事なパーツの1つなのではないかと思います。

スタバ内装 HDR

そういったものが、ある人の人生にとって最も大切なもののうちの1つになるとして、それに対して日本の住宅事情はちょっとお粗末だなと思うことがあります。例えば、都市部の平均的な勤め人だったら、一生懸命働いても、一生のうちに家の一軒を建てるのも大変ということは珍しくないでしょう。マンションを買うのだって似たようなものだと思います。そもそもが、非常に高価でおいそれと手を出せないようなものである上に、一生に何度も買うようなものではないからこそ、判断も難しいし、ややもすると簡単に間違った選択をしてしまいそうになることもあると思います。

しかも、そんな大切で大変な「住まい」「住宅」ですが、せっかく頑張って手に入れても、20年30年も経つと、法定耐用年数が経過して建物としての価値はなくなってしまいます。メンテナンスの状況にもよるでしょうが、実際の建物の状況としても、いろいろとガタが来て、大規模な修繕を入れるか、場合によっては建て直すかというような判断を迫られる状況になることもあるでしょう。

ハウスメーカーや国は、売上や雇用が欲しいでしょうから、もしかすると、家をしょっちゅう建て直して欲しいと考えているのかもと思うこともあります。だけれど、資源のない日本という国、皆が頑張って家を建てようとすること自体は決して悪いことだとは思いませんけれど、せっかく建てた家が30年で価値がなくなってまた建て直して、なんてことを繰り返していては、なかなか幸せにはなれないのではないかと思うこともあります。ましてやそこで判断を誤るようなことがあったら、それこそどうしようもないどツボにはまってしまうこともあるでしょうしね。

だからこそ、「いいもの」があれば紹介したいし、「いいやり方」があればそれを共有したい。一番最初にそんなことを漠然と考えたのが、このサイトのスタート地点です。素敵な家、素敵な作り、素敵な空間。新築で建ててもいいですし、リフォームやリノベーションという選択肢もあるでしょう。100年でも使えるようなしっかりとした作りの素敵な家を建てて、子どもや孫に譲る、人に譲る。譲り受けた人はそれに手を入れて住む。そういった選択肢もあるでしょう。そういったやり方は、自然で正しいやり方の1つだと思いますし、これからさらに少子高齢化が進み、社会保障や財政などに関するさまざまな問題のさらなる深刻化に直面する日本という国にとって、社会やそこで暮らす人々、とりわけ若い世代への負担を軽くするために必要な手段の1つでもあると思います。

僕が好きなものやいいなと思ったものを紹介することが、いま書いたような、「いいもの」「いいやり方」「必要とされるやり方」、そういったものに誰かがたどり着くために、少しでもお役に立てればと思っています。

例えば、僕はこういったものが好きです。

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【居心地の良いスペース、開放感のあるスペース、包まれ感のあるスペース、こじんまりとしたスペース】

庭、テラス、ベランダ、バルコニー。外に出て過ごすことのできる空間のある自宅。外でコーヒーを飲んだり、お酒を飲んだり、BBQをしたり、焚き火をしたり、ひなたぼっこをしたり、読書をしたり。そういったことをして過ごせる空間。

観葉植物がたくさんある家。観葉植物を置けるスペースがたくさんある家。

天窓。天窓の下の空間。明るく開放的なスペース。

勾配天井の下や、低い天井の下の、包まれ感があったり、狭くてこじんまりとした、居心地の良い落ち着ける空間。

一人掛けのソファ(のあるスペース)。片隅の小さな寛ぎ空間。ニッチスペース。

 

【使い勝手の良い収納スペースや作業スペース】

たくさんの収納、効率良くものを収めることのできる収納。余裕があり、ギチギチにならない収納。自分の持ち物の量を把握できている自分。そして、その量の1.2〜1.5倍くらいの余裕のある収納スペース。

メンテナンスフリーや、それに近い利便性のある収納スペース。ものを収めておく場所がしっかりと確保されていて、ものが自然と片付いていく収納スペース。

使い勝手の良いキッチン、作業用のスペースと収納がしっかりと確保されているキッチン。

道具類や材料がしっかりと収納できて、広い作業用のスペースがある、そういう多目的スペース、書斎、作業スペース。

 

【おもしろさのある空間の仕切り方やつなげ方】

ガラスドアや室内窓で仕切られた空間。光を通し、音は通さない、においは通さない。つなげたり仕切ったりを調節できる、そういう仕切り方、つなげ方。

スキップフロアや段差。ずれてつながる空間。分かれているあるのにつながっている、つながっているのに分かれてる、そういうつながり方をしている空間。

 

【可愛らしさやおもしろさのあるアイテム】

格子窓、上げ下げ窓、天窓など。

木戸、格子引き戸、千本格子、ルーバー。外からの視界を程よく遮って、開放感や明るさは損なわない仕組み。

ものをディスプレイしたり、遊び心を発揮できるちょっとしたスペースがたくさんある家。

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実用性と、見た目の可愛らしさや雰囲気の良さが上手に組み合わさったような、こういう素敵なものを、これからもたくさん紹介していきたいと思います。そしてこのサイトが、人々が良い空間に暮らし良い生活をおくったり、家族やパートナーや仲間たちと気持ちよく過ごせたり、長く大切に住みたいと思って、実際に住むことができるような家が日本にたくさん増えるような、50年100年後の人々の暮らしをより良くするような、そういったことに対して少しでも役に立てる存在になれればと思っています。

来年も引き続きよろしくお願いいたします。

( Photos ©juutakudesign.com  )

【スペースのつなげ方】傾斜地に建つスキップフロアの家



こちらのお宅、傾斜地に建ってるんですが、作りが面白いかなということで、ちょっとご紹介させて頂きたいと思います。

 

庭に面したこちらのサイドが最も低いエリア。

傾斜地に建つスキップフロアの家の外観1

切妻が連なった形の建物の中央部にあるのが正面玄関です。

 

平面図で見るとこんな感じ。

傾斜地に建つスキップフロアの家の図面

右側のフロアが子供部屋とリビングスペース。左側のフロアがラウンジ。その間をつなぐ中央のフロアがダイニング・キッチンというレイアウト。

 

正面玄関から入ると、まずはダイニング。

傾斜地に建つスキップフロアの家のダイニング

 

その奥がキッチン。

傾斜地に建つスキップフロアの家のキッチン2

 

ここから右のリビングリビングエリアへは、5段の階段でスキップフロア状に接続。

傾斜地に建つスキップフロアの家のキッチン1

 

ダイニングの左手のラウンジスペースへも、同じく3段の階段でスキップフロア状に接続。

傾斜地に建つスキップフロアの家のダイニングからリビングを

 

一番低いダイニング・キッチンエリアを中心として、その周辺を、少しづつ高さの違う各スペースが取り囲んでいるような配置になっているわけです。

 

北西方面(正面向かって右)からの立面図はこんな感じ。

傾斜地に建つスキップフロアの家の北西からの立面図

結構な傾斜です。正確な数値はわかりませんでしたが、建物奥行きを約10mとして計算すると、約1.5m程度は高くなっていると思います。

 

ちなみに、奥の駐車場とつながる裏玄関へは、更に10段ほどの階段を上ってから出ます。

傾斜地に建つスキップフロアの家のキッチンの向こうのリビング

1階から入ったはずなのに、奥に行くにつれて少しづつ高い場所に持ち上げられて行って、そして、いつの間にかまた1階に戻っているという。

 

こういう空間のつなげ方って面白くて良いなと思うんですけれど、単なる平地では無く傾斜地だからこそ、こういった作りが自然にできるという面白さがあるのかなと。

 

もしもこのくらい傾斜がある土地に家を建てるのであれば、こういったスキップフロア的なアイディアを取り入れつつ、思い切って地下室も作ってしまうという手もありかも知れませんね。

地下室は、建築費用が高くついたり、換気や排水排水関係の考慮が必要だったりと、費用と手間が掛かるのも確かですけれど、一定の基準を満たせば容積率不算入にすることも出来ますので、スペースに余裕を持たせることができるようになりますし、防音性が高かったり、周囲の温度変化の影響を受けづらかったりというメリットもあったりします。

地下室を作って、楽器の演奏もできるような趣味の部屋や、ウォークインクローゼット、パントリー的なスペースに割り当てたりしてみると、色々と家で楽しめる趣味の範囲が広がって楽しいかも?

( via Home Adore )