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【大空間の区切り方】採光と通風と気密性とガラスの壁



例えば家を建てるときに、結構大きな30畳くらいの部屋が作れるスペースがあったとして、その空間をどう使うかというのは、なかなか難しい問題です。

一つの空間として使えば、開放感のある、「大空間なりの素晴らしさ」のあるお部屋を作ることもできると思います。
でも、非常に現実的なことを言わせてもらえば、大空間な分、当然冷暖房の効率は良くなかったりもします。
光熱費がかさむこともさることながら、「夏はなかなか涼しくならず」「冬はいつまで経ってもどこかスースーする気が(実際に住んでみると、コレが結構効きますね…)」というあたりで、若干の後悔をしてしまうことも珍しくは無いのでは無いかと。
当然複数の部屋に分けたときと比べれば柱や壁も少なくなりますから、木造建築であれば、建物の強度、耐震性的な面でも多少の考慮が必要になるのも事実です。
だからといって、せっかくの大空間を細々と区切ってしまうというのも、ちょっともったいない気がしますよね。
冷暖房のことまで考えるならば、当然壁できっちりと区切ることになるわけで、大空間の開放感は得られないですし、場所によっては採光とかも悪くなりますしね…。
あ、でも、良い感じに上手に区切っていければ、包まれ感のある小さなエリアが沢山できて、それはそれで良いんですけどね。
で、本題です。
ある大きめの空間の使い方として、一塊に使うか区切って使うかという選択肢に加えて、こういうアイディアもあるんだなと。
こうしておけば、雰囲気的にはガラスの向こうのリビングエリアとほとんど一体な感じで、視線も抜けてますし採光もバッチリですが、部屋としてはしっかりと区切って使うことも出来るわけです。
ガラス窓のサイズを思い切って大きく/小さく変えてみたり、カーテンやブラインドなんかと組み合わせて使ったら、コレをベースにかなり幅広い応用パターンや新しいアイディアを生み出せそうかなと。
もしかすると、空間の仕切りとして全開放型のスライドガラスドアとかを入れてみても面白いかも知れませんね(単なる思いつきですので…。聞き流して頂いて結構です)。

【明るく開放的で柔らかさのある空間】神々しいほど透明な寛ぎのリビング



コチラのリビング、明るく開放的で、透明感があってものすごく良い雰囲気だなと思ったので、ちょっとご紹介させて頂きます。

ソファ、オットマン、カーペット、壁を覆うカーテンから天窓のシェードに至るまで、共通したトーンのオフホワイトで統一されていて、それらが神聖さを感じさせられる程の独特の雰囲気を醸しています。
ここまでやってしまうと却って落ち着かない雰囲気になってしまいそうな気もしますが、壁面の大きな窓と全体が天窓になった天井がもたらす「明るさ」「開放感」と、ファブリック類の色と素材感の「柔らかさ」が、この部屋全体をものすごく暖かみのある空間にしてくれていると思います。
この部屋、実はCherというアメリカのシンガーの、数ある自宅のうちの一つのリビングなんです。
最初にその話を聞いたとき、偏狭で偏見にまみれた僕の想像力では、「ミュージシャン」という存在とこの部屋の神々しいまでの雰囲気が、どうしても一本の線で繋がらないような気がしていました。
何というか、部屋自体は本当に素晴らしい雰囲気に仕上がってると思うんですけれど、こんな部屋が自宅にあったらもうそれだけで満足してしまって、それ以上先の「進む方向」が見えなくなっちゃいそうというか…。
確かにイメージとしてこんな感じの雰囲気がマッチするミュージシャンというのもいるとは思うんですが、例えそういったイメージのミュージシャンであっても、何かを創造し続ける人というのは、実際にはこんな感じの部屋に暮らしていては創造的な活動をし続けることが徐々に難しくなってきてしまうのでは無いかと。
でも、このお部屋に関する説明を聞いて、そこら辺のことが、何となくですが理解が出来た気がします。
この部屋を作った当時、Cherは、エスカレートし続けるパパラッチたちの凄まじく酷い行いに深く悩まされていたんだそうです。
そこで、この家をデザインしたRon Wilsonというデザイナーは、外に出ることも嫌になるような状態に身を置いている彼女を「包み守ってくれる特別な場所」「聖域」として、この部屋を作ったんだそうで。
そういわれて改めてこの部屋をみてみると、この部屋は彼女にとっての「お気に入りの街並み」「聞き慣れた雑踏」「眺めの良いカフェ」「よく晴れた静かな公園」であって、尚且つ「隠れ家」であり「癒しの空間」であったのかなと。
人によっては心を病むほどの熾烈な戦いを日々繰り広げる現代人には、こんな感じのリビングが必要なのかもし知れません。