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大きな窓が2つ並ぶリビングダイニング



こちらのリビングダイニング、広々としてはいますが、一見すると何の変哲もない感じなのに、中々良い雰囲気だなと思いまして。

正確な広さはわかりませんが、幅も奥行きも6mから7m位はありそうですので、広さとしては20畳以上、30畳位はありそうな感じです。
こういった、色々な用途の家具を配することで一つの大きな空間を複数の性格のエリアに分けている感じ、好きですね。
手前のエリアはダイニングテーブルと椅子が置いてあって、ここでは朝食を食べたりコーヒーを飲んだり、ということができますし、もう少し寛いだ感じで過ごしたければ、そのまま立ち上がって数歩奥のエリアに向かって歩いて行けばソファがあるわけです。
こういった空間だと、例えば、ダイニングテーブルで書き物をしていても、ソファの前で遊んでいる子供達の様子が感じられて、それでいて別個のエリアに居るという過ごし方ができます。
「パパは今お仕事中だからね」と言っておけば、家族が別々のことをしながらも、家族のコミュニケーションを確保することができるわけです(子供の方にも、そのくらいの分別が必要ではありますが)。
上記だけでも、このリビングダイニングは中々魅力的な雰囲気を作れていると思うんですが、このお部屋、何よりもこの窓が良いと思いますね。
幅1m以上、高さも2mはあろうかというとても大きな窓を、わずか40cmくらいの間隔でドーンと2つ並べてしまっています。
僕はパッと見では気が付きませんでしたが、良く考えると結構思い切りが良い配置なのでは無いかと。
部屋の中の一つの壁がこれだけの面積で窓になっていると、室内は相当明るく、また、かなりの開放感があるのでは無いかと思います。
しかもこの窓、よく見ると格子窓ですね。
こういう窓にはいった格子、規格格子というんでしょうか。
窓にこれを入れると、窓の雰囲気がかなり変わりますよね。
格子窓というと防犯的な意味合いが一番に来ることが多いようですが、外から中への視線に対しても、「印象としては」、かなりの影響がある様な気がします。
単なる窓だと、ちょっと開けっぴろげな感じがして、この位大きな窓を入れると外からの視線が気になってしまいそうな気がしますが、こういった細い格子が入っているだけで、格子の面積以上に視線を遮ってくれる感じがします。
これは視線と焦点の問題でもあると思うんですけれど、室内からは当然いくつかの格子ブロック部(例えば縦横2ブロックづつとか)を通して外を見るわけで、視界に対して影響を受ける格子は縦横1本づつなわけです。
それに対して、遠くから室内を見ようとした時には、窓に入った格子全部が視界の中に含まれるわけで、細い格子とはいえ、かなり視界を遮る「印象」を与えてくれるのでは無いかと。
実際に室内を見る気になれば見えてしまうことに違いは無いんですが、人の心象的なものとしては結構な違いがあるように思えます。
そして、「外から丸見えじゃ無いよ」というその「気持ち」は、実際に中に暮らす人の、「窓」や「窓の外の風景」に対する印象にも大きく影響すると思います。
それは結局、家の中で暮らす人の生活にも影響を与えるのでは無いかと。
たかが格子窓について、長々と熱く語ってしまいました…。
Photo ©HARO Flooring – Parkett & Laminat

納屋のロフトをリノベーションしたサンルーム



こちら、イギリス南西部 コーンウェルにある、納屋のロフトをリノベーションしたお部屋なんですが、サンルームの様にガラス張りになった斜めの屋根の感じが中々良いなと思ったので、ご紹介させて頂きます。

「サンルーム」と書いてしまいましたが、こちらのリノベーション住宅の設計者であるGordon Collinsは、この家をパッシブソーラーハウスとして設計したということですので、実際にはサンルームと言うよりも、「パッシブソーラーハウスの一部」と表現するべきなのでしょう。
このパッシブソーラーハウスのことを具体的にイメージして考えるにあたっては、まずイギリス南西部の気候について簡単に知っておく必要がありそうです。
イギリスの気候というと、「一年中曇りの日が多くて寒そう。冬は特に寒い」という、非常にわかりやすいイメージなのですが、例えばコーンウェルに近い、南西部 エクセターあたりの気候は下記のような感じです。
・最も寒いのは1月、2月頃で、平均最高気温が8度、平均最低気温は2度(日本の東京と比較した場合、同時期で最高気温は10度前後、最低気温は2度前後という感じですので、東京よりももう少し寒い、というイメージでしょうか)。
・夏場も平均最高気温は20度前後、平均最低気温は10度前後と、「涼しい」か、もしかすると「少し寒い」程度の夏です。
・最も寒い真冬の季節が最も降雨量が多く、月間降水量は80mmから90mm程度。夏場の方が降水量は少なく、月間50mm程度(東京は、冬場の月間降雨量は50mm程度、夏場は150mm程度。台風シーズンの9月で200mm超)。
・月間降雨日数は、雨の少ない夏場でも10日程度、雨の多い冬場は16日から17日が雨。
なんだか、「いつも曇りか雨で、寒々しくて」、というイギリスのイメージそのまんまの気候ですね…。
パッシブソーラーハウス、というのは、「夏場は大きな屋根や庇で日光を遮り、天井や壁に設けた換気口、吹き抜けなどをうまく組み合わせて、自然換気によって涼しさを確保する」、「冬場は南側に設けた大きな窓、天窓などから太陽光を取り込み、断熱によって暖かさを確保する」という、自然の仕組みによる冷暖房を実現しよう、という仕組みです。
こちらの写真のロフト部は、その中でも「冬場の暖かさを実現すること」を目指したものにあたるわけですが、上記のような寒々しいイギリスの気候にあって、貴重な太陽の暖かさを享受する、という意味では、日本の気候において設ける南側の窓や天窓よりも、更に重要であり、また素晴らしい仕組みといえるような気がします。
日本でサンルームやガラス張りの屋根によって同様のことを実現する場合、冬場は同じように「太陽の恵みの素晴らしさ」を得られるという意味では、家の中の素晴らしい空間の一つを作り上げることができると思います。
ただし、日本の夏場はかなりの猛暑日がありますので、夏場の換気、暑さ対策については、プラスアルファの仕組みが必要だと思います(換気窓の増加、夏場用の庇の追加検討など。これは日本の中でも、家を建てる地域の気候によって、どういった取り組みが必要かという点が異なってくるとは思います)。
夏場の暑さ対策に限界があるようであれば、同じようなガラス天井のサンルームエリアを作っておいて、冬場はぽかぽかのリビング、夏場は窓を常時すべて開け放って、家庭菜園用のサンルームや子供たちの水遊び用エリアにしてしまうなど、「家の中でのエリアの使途」を季節によって変えてしまう、というのも良い手かもしれません。
Photo ©tonyhall