内装や雰囲気」カテゴリーアーカイブ

無垢素材の持つ魅力



これはとても当たり前のお話なんですが、家具にしても床材にしても、いまどきは合板というとてもリーズナブルで使い勝手の良い素材があります。

一方で、無垢材への支持というのも根強く、多少価格が高くとも(多少どころではない?)無垢素材を使用することにこだわり続ける方が多いのも事実です。
で、この無垢素材ですが、「塗料や接着剤を使用していないので、人体や環境にやさしい」であるとか、「木材は生きているので、湿気を吸ったり吐いたりして調湿作用がある」だとか、色々なことが魅力として挙げられたりするんですが、僕の考えている無垢材の魅力はそういったものとはちょっと違います。
ちょっと違う、といいますか、本質的には同じことになっていくのかもしれないんですが、僕は無垢材の魅力というのは、その「耐久性」であったり、「経年変化していったその後の魅力」あたりなのかな、と感じています。
たとえばうちの自宅の床は、ウォルナットの無垢材を使用したフローリングです。
小さな子供がいますし大人も色々としでかすので、日々いろいろなところに傷や凹みがついたりしていきます。
年を重ねるごとに汚れも付いていきますし、人が頻繁に歩く箇所は色が濃くなっていったり、という変化もあります。
でも、無垢素材だと、そういった傷や変化も、なんというかフローリングのデザインの一部になっていくような気がするんですよね。
この汚れや傷や色の変化が積み重なり続けて、例えば10年20年経った後でも、フローリングとしては変わらず「現役」でいられるような気がしますし、そういった傷の類も家の「魅力」の一つにすらなっていくのではないかとすら思います。
ちょっとうちのフローリングの写真を使って「20年後」の未来イメージを作ってみました。
僕の自宅はまだ築5年くらいなんですが、フローリングは傷と汚れが付き捲りです。
で、それを写真の上で「エイジング処理」をして、汚れや傷の箇所を更にくすませたりしてみました。
なんだか古い小学校の床みたいで結構魅力的かな、と。20年後、こんな床になっていたらそれはそれで良いなと思います。
もしも仮に床材が合板とか合成○○的なものだったとするとどうなんでしょうか。
そういった床は新築当初はきれいでしょう。
でも、床に着いた傷や経年変化、変色なんていうものは「魅力」とはちょっと違うのかな、と。
20年経ったときに、床材を丸ごと新しく張り替えたりしたくなってしまうのではないかな、と。
この違いこそが、最大の「無垢素材の魅力」なのではないかと思うんですよね。
家を建てたときがピークなのではなくて、実際に人が住んで、その生活の痕跡が追加されていくことで、更に魅力的になっていくという、オーダーメイドのスーツのような、そういった変化を楽しめるというのが無垢素材の魅力なのかな、と。
そして、そういったものを素材として用いるからこそ、その家に住んで20年後、誰がどうやってそこで暮らしているのか、自分たちの生活はどうなっているのか、子供たちはどんな大人になっているのか、というあたりまでをイメージすることにもつながるのではないかと思いますし、だからこそ「どんな家を建てるのか」という、根本のコンセプトにも一本芯が入るのではないか、なんてことまで考えたりもします。
ま、考えすぎといわれてしまえばそこまでなんですが、「20年後も使える○○」というのが、20年後の未来の色々なものをイメージするための「呼び水」になるというのは事実だと思いますし、家という長く使うものにはそういった「イメージ」が必要なのではないかと思います。

屋内の箱の中のベッドルーム



コチラの「部屋の中に出現した木の箱」、かなり面白いアイディアなのでは無いかと。

部屋の中にこんな箱を作ってしまおうと考えついたのは、お部屋のオーナーのブノア夫妻でして、このロフトスペースのリノベーションをどうしようかと考えていたときに「箱」をつくることを思いついたんだそうです。
階段の下の部分はクローゼットになってまして、しかも、階段を登った上のエリアはドレッシングルームになってるんだそうです。
で、箱の中はといいますと、こんな風に独立したお部屋になっていて、ココはベッドルームとして使用しているんだそうです。
ちなみに、箱の中に入っていく入り口がある面は、全面が巨大本棚になってます。
この「箱」、サイズはといいますと、16ft×17ft×10ft、とありますので、大体4.8m×5.1m×3m、ということになります。
内部の写真とかがイマイチ無かったんですが、あんまりにも面白そうだったので、思わずGoogle SketchUpで画を書いてしまいました…。
階段のある面はこんな感じです。
この階段を登ると、上に中二階的なエリアがあるわけです。
つまり、この「箱」が、天井の高いロフトエリアを1.5フロア位に分けてくれているという…。
で、左側に回りこむと、「箱」の中に入っていくための入り口があります。
一面に作り付けられた本棚の収納力は相当なものだと思いますね。
幅4.3m×高さ3mですから、普通の家の本棚で言えば、「超巨大」壁面作り付け本棚、という位のサイズになると思います。
で、内部を逆から見てみるとこんな感じになってます(手前側には本当は壁があるんですが、透明にしてあります)。
図面上、箱の内部の天井高は2.2mありますので、まあ「若干天井が低めの」普通のお部屋、という感じでしょう。
程よくこじんまりとした感じで、周囲から閉ざされた空間でもありますし、寝室として用いるのにちょうど良いエリアになっていると思います。
前回「いつか子供たちが大きくなったらロフトを作りこんで子供部屋を…」という話を書いてみたんですが、思い切ってこの「箱」を作ってしまうというのもありかもしれません。
そもそものイメージとして、仮にロフトを新しく作るならば、今ある吹き抜けのエリアを改装して作るかな、と考えていたので、思い切ってそこにこの箱を作ってしまう、というプランならば行けそうな気もします。
僕の家には、5m×5mものサイズのものを作れるような空きスペースはちょっと無いんですけれど、4m×3m位のサイズならば作れそうです。
で、「箱」の上にベッドルームを一つ、下(内部)にベッドルームをもう一つ+二人共用の子供部屋兼勉強部屋を作る、というプランはどうかな、と。
セットで巨大本棚も作れてしまうところも魅力的ですね。
単にロフトを作るよりも更に手間はかかってしまいそうではありますが、思い切って屋内に躯体的なものを作ってしまうことで、空間全体としてはかなり利用効率が上がりそうな(無駄が省けそうな)気もしますし。
2段ベッドにするか、ロフトにするか、「箱」を作るか、選択肢がどんどん広がって、考えをまとめるのが難しそうです。
何にせよ、向こう1年以内くらいには決定して実行することになると思いますので、そのときにはまた、「こうしたよ」というご報告をさせていただきたいと思います。
Photo #1-3 via freshhome , #4-7©juutakudesign.com