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柱の有無 – キャンチレバー構造の開放感




柱の無いベランダ

とても素晴らしいベランダの写真を発見したので、ちょっと紹介しておきたいと思います。
ベランダの奥行きは2.5m程度でしょうか。それほど広い訳ではありませんが、椅子を出してちょっとお茶を飲んだり、深夜に静かにお酒を飲んだりするのには十分な広さです。
高台から遠くの街並や山々を眺められるそのロケーションも素晴らしいと思いますが、このベランダに開放感を与えている一つの重要な要素は、「柱の有無」なのでは無いかと思います。
もしもこのベランダの角に柱があったとしたら、この開放感は半分以上失われてしまうのではないでしょうか?
この開放感は、柱の無い、「オーバーハング構造=キャンチレバー構造(片持ち梁、等ともいいます)」によるところが大きいのではないかと思い、一例として紹介してみたいと思ってこの記事を書いてみました。
どうでしょう。仮にこの両脇に柱があったとしたら、視界から受ける印象は随分かわるのでは無いでしょうか。
これは外観図ですが、キャンチレバーにすることによって、1階から外を見たときの風景、1階から庭に出たときの印象は大きく変わっていることだろうと思います。
余談ですが、僕の自宅も、2階のベランダをキャンチレバーにしています。ベランダの下がちょうど駐車場なのですが、キャンチレバーにすることによって柱が無くなり、お陰で車の出し入れはかなり楽です。(こういった目的で、駐車場の上をキャンチレバー構造にすることも多い様です。)
こういった部分の柱は、木造等の場合、建物の構造上どうしても必要となるケースも多いですが、周辺部分に鋼材を入れる事で実現可能なことも多いです(特にベランダ、バルコニ等の、加重があまりかからないところであれば十分に実現可能だと思います)。
ベランダに開放感が欲しいな、と思ったら、建築家や工務店の担当者に相談をしてみるのも一つの手だと思います。

日向と日陰と採光




庇の下の縁側


日当りが良くて明るいリビング、ダイニング、というのはとても良いものですが、個人的には、それと同じ位、日陰も好きです。
言葉で説明するのがかなり難しいのですが、太陽の光でしっかりと照らされた、明るいエリアと、その日差しをしっかりと遮った、暗さの残るエリア、家の中で、この2つのエリアのコントラストをはっきりと持たせるようにする事で、明るいエリアは、より活動的な「動」のエリアとして、また、暗いエリアは、より落ち着いた「静」のエリアとしての位置づけがはっきりと際立つのではないかと考えています。
例えば、強い日差しに照らされたこのテラス。
この日差しの中で、冷たいビールでも飲みたいところです。

テラス

格子状の日よけによって、テラスへの直射日光は適度にコントロールされています。が、それよりも何よりも素晴らしいのは、この日よけを設置したベランダに続く室内側の「明るさ」です。
この柔らかい明るさ、例えて言うならば、大きく張り出した庇の下の縁側の様だと思うのですが、いかがでしょうか。
この落ち着いた適度な明るさが、のんびりとダイニングで寛ぐ時間を、より豊かにしてくれるのではないかと思います。
隣接する、すぐ隣の空間は激しく明るく、そして、この空間はうって代わって薄暗く落ち着いたイメージ。
このコントラストを住宅の中に実現できると、自宅の中で、静と動のギャップを楽しむ事ができるのではないでしょうか。
同じ様な「住宅内の光のコントロール」をいくつか紹介してみたいと思います。
このケースは、庭に面する敷地の塀を格子状にすることで、光をコントロールしています。
この格子状の塀(壁)はレールによってスライド可動が可能になっており、季節や状況に応じて開閉もできる様になっています。
この庭に続くダイニングです。
格子によって適度に採光をコントロールすることで、明るいながらも、落ち着いた雰囲気のダイニングが実現できているのだと思います。