こちらのお宅のベランダ、すごい良い感じなんですけど。
最上階である3階の、多目的スペースの一端の壁面が、全面、ガラスのスライドドアになってまして、そこからベランダに出られるようになってます。
ココまでは、まあ、普通と言えば普通なんですが…。
このベランダ、何と、屋根と窓があるんです。
ベランダの半分は屋根が無いわけで、ココは一応屋外なわけですが、もう半分は屋根があるわけで、するとココは屋内なんだろうか…。
いや、そもそもベランダに屋根や窓があるのは別に普通のことなわけで、珍しいのは、「しっかりとした屋根が」「半分だけある」という、この作りなんでしょうけれどね。
でもコレ、良いと思うんですよね〜。
屋内側とはガラスのドアで仕切られてるわけで、やはりココは屋外なんでしょうけれど…。というような、「屋外のようで、屋内のようで、やっぱ屋外」という感じが、とても面白いと思うんです。
ベランダに出れば間違いなく開放感的なものは味わえると思いますし、屋根があるお陰で、雨の日や、夏の日差しの激しい日でも気にせずに出られたり、場合によっては大きな庇の下で過ごす包まれ感のようなものも味わえたりと、半分だけ屋根を作ってあるお陰で、ベランダが、ものすごく懐の深い、バリエーションに富んだ使い方の出来る空間になってくれているのでは無いかと。
窓があるのも何気に良いですよね。窓が1つあるだけで、随分と雰囲気が違ってくると思います。
周りを高い壁で囲んであるお陰で、周囲からの視線的なものはあまり気にせず過ごせるというメリットはあるんですけれど、ココまでガッチリ囲まれてると、ちょっと息苦しい感じがしちゃいそうな気もしますもんね。
立体図はこんな感じ。
ベランダというよりは、「3階の一部の屋根を取っ払った」という表現が正しそうですね…。
この作りだと、かなり慎重に漏水/防水関係の考慮をしないといけ無さそうですけれど、でも、その労力を費やしてみるだけの面白さは十分にありそうな気がします。
ちなみにこちらのお宅、実は日本のお宅なんだそうで。
神戸に事務所を構えるタトアーキテクツ/島田陽建築設計事務所が手がけた、伊丹市の物件なんです。
リンク先サイトに詳しい説明もありますので(英文ですが)、ご興味のある方は、是非覗いてみてください。
( via dezeen )
「庇」タグアーカイブ
【屋外空間の居住性】半分張り出したテラスの上の屋根
半屋外の居住空間であるテラスとベランダとバルコニー、ケースバイケースで微妙に呼び方が異なったりすることもあるようですが、1階にある場合には、屋根付きがベランダ、屋根無しがテラスというコトで概ね共通認識が得られているのかなと。
では、こういうのは何と言うんでしょうかね…?
ベランダという感じじゃ無いですから、テラスということになるんでしょうかね。
庭やテラスの上部にしっかりとした屋根を作った場合、屋根があれば日ざしも雨も遮ることができるわけで、居住空間の一部として見た場合には相応の(相当の)メリットが享受できます。
その反面、当然のことながら「開放感」「屋外感」はその分損なわれてしまいますが…。
とはいえ、逆に全く屋根が無い空間だとしたら、雨の多い季節、梅雨時なんかは全くもって外に出る気にならないでしょうし、ソレを過ぎて夏到来以後は10月近くまで激しく照りつける日ざしに苦しめられるコトになります。
そういう意味では、ちょっとした屋根的なものがあるだけで、1年のうちの1/3から半分近くの期間、屋外空間が「使い易く」なるわけで、やはり屋根またはソレに準ずるような設備の存在というのは大きいのかなと。
このお宅はスペインのお宅ですので当然日本の建築基準法は関係無いわけですが、少なくとも日本の家屋の場合は、屋根があれば当然ソコは床面積としてカウントされる範囲に含まれるわけで、屋根の無いテラスにするか屋根のあるベランダにするかという選択は、ココらへんとの兼ね合いにも左右されることになります。
そういった点も含めて、こんな感じに全体のうちのある一部の空間だけを覆うような屋根を作るというのは、それらの色々な問題を上手にバランシングしてくれる折衷案的なプランとなり得るのでは無いかと。
コレほど立派な屋根でなくて、1mちょいくらい張り出した屋根や庇があるだけでも、テラスを利用できる日は大幅に増えると思いますし、テラスの使い勝手も大幅に改善すると思うんですよね。
完全な雨ざらしという訳ではありませんから、雨に濡らしたくないようなモノも多少は置いておけるようになりますしね。
そういわれて改めて見てみると、伝統的な日本家屋の庇って、見た目は違いますけれどこの建物の屋根とイメージ的にかなり重なるものがある気がします。
現代風の建物でも、テラスに面した部分にこんな感じの屋根を作ってみたら意外なほどに建物や住む人のライフスタイルにマッチしてくれるのでは無いかと。
( via MICASA )