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気候と家の内外の境界 – 開放的な海沿いの豪邸



こちら、オーストラリア東海岸の不動産屋、TOM OFFERMANN REAL ESTATEで現在販売されているブリスベン サンシャインコーストの海沿いに立つ大豪邸です。
何といいますか…。ともかく良いです。
RC造で4ベッドルーム+3バスルーム+駐車スペース2台分。
ビーチまで500m。
寝室や洗面所にはジャロジーの窓が使われていて、なんというか、屋内にいても随所で外の空気を感じられそうな雰囲気があります。
ちなみにお値段は”2.695m”とありましたので、1オーストラリアドルが85円として、2億3千万円位。
高いような安いような…。
やっぱり安いと言ってしまって良い気がしますね。
そりゃ、2億円もポンと出せるわけは無いんですが、東京で家を建てたり、ちょっと良い目のマンションを買おうと思ったら、数千万円台の半ばから後半は覚悟しなきゃいけないわけで、それに対して2億3千万円でコレが買えるなら、と。
話が脱線してしまいましたので、強引に戻したいと思います。
このオタク、色々魅力的なんですが、特に何が気に入ったかというと、やはりこの家全体にあふれる開放感ですね。
温暖で雨の少ない亜熱帯気候に属するブリスベンで、海まで500mという立地。
冬場、最も寒い7月ころでも、平均最低気温は10度近くはあり、平均最高気温は20度以上になります。
暑い夏場も、湿度が低く海からは涼風が吹いてくるため、非常に過ごしやすい気候です。
この素晴らしい気候を十分に堪能できる様に家が作られている、という感じがします。
例えば一枚目の写真のリビング、庭に面するテラスとリビングの間は、全開放型のガラス折れ戸になっています。
夜間の少し冷え込む時間帯は閉じておいて、昼間はすべて開けはなっておくことで、リビングにいても温暖な気候の素晴らしさを感じながら過ごすことができる様になっています。
前出の色々な場所に作られたジャロジーも外からの空気を屋内に吹きこませてくれますし、こんな感じの屋外ダイニングも作ってあったりします。
中途半端な作りはしてないですね。
もう、このダイニングがメインのダイニングでOK、という感じです。
ブリスベンやゴールドコースト周辺の温暖な気候であれば、真冬の夕食だけは屋内で、という感じかもしれませんが、それ以外の全ての季節、全ての食事はこのダイニングでイケそうです(フリース位着ていれば冬でも大丈夫そうですが。あとは、冬場の夜のちょっとした暖房設備として、暖炉とかを設置しても面白そうですね)。
そういった気候を踏まえてこういった作りの家になっているわけです。
当然、そもそもの気候の良さ、というのがあるわけですが、その気候にあったライフスタイルを想定して、そのライフスタイルにマッチした家を作る、という一連の流れがしっかりとできている点が素晴らしいです。
日本には日本の気候があるわけで、当然その気候にも素晴らしい点がたくさんあります。
個人的には、日本の春、初夏、秋というあたりは、過ごしやすく、季節の移り変わりを感じ取れる素晴らしい気候なのでは無いかと思っています。
このオーストラリアの豪邸の良い点はそのままでは日本の家に適用することはできませんが、ポイントや考え方は、家を建てる時に応用することはできるのでは無いかと思います。

吹き抜けと大きな窓のあるリビング



このリビング、かなり開放感があっていい感じです。

広さ的には、幅5m×奥行き5mといったところだと思いますので、せいぜい15畳、決して狭くは無いですが、超広いリビングというわけでもなく、ごくごく標準的な広さだと思います。
やはりこの開放感の最大の理由は、「吹き抜け」、そして「窓」の組み合わせなのでは無いかと。
まず、リビングエリアの上が吹き抜けになっています。
写真手前の上部に少し天井が写り込んでいるように、写真の手前側のエリアは吹き抜けになっていません。
手前のエリアは天井の高さも普通の2.4m程度の高さで、その上にはちゃんと上のフロアが作られているんですが、リビングの上は丸々吹き抜けになってまして、この15畳位のリビング全体が、天井が5m位の高さがあるエリアとして作られています。
この吹き抜けだけでも相当な開放感が得られると思うんですが、それに加えて、この窓がまた良いです。
本来上階が作られているはずの吹き抜け部分の、その壁全体を窓になっているわけです。
例えば、リビングに置かれたソファに座ってちょっと上を見上げると、そのまんま青空が視界に入ってきます。
奥に見える窓の上部(吹き抜け部)が、窓でなく普通の壁であることを想像してみたら、それだけでリビング全体の雰囲気が相当変わってくることは想像できると思いますが、実はその程度の違いでは無いです。
もしもこの吹き抜けと窓が実際にはなかったとしたら、この写真を撮った場所から斜め上に視線を向けても、そこには単に白い天井があるだけです。
つまり、この吹き抜けと窓がなかったら、実際にこの家で生活をしているときに、この場所に立って視線を斜め上に向ける、という行為すらすることは無いであろう、という位に、この吹き抜けと窓は、この中で暮らす人の生活に影響を与えているわけです。
この家で日々生活をしている人は、その方向には空が広がっている、ということがわかっているわけで、吹き抜けの下のエリアのみならずその隣のエリアにいても、開放感のある視界を得ることができるわけです。
コレは良いですね。
日々の生活に相当な違いを産み出してくれると思います。
ちなみに、僕のウチの2階のリビングも、(こんな素晴らしい感じでは無いですが)上が吹き抜けになっていて、奇遇なことに、その吹き抜けには壁面いっぱいの大きな窓を入れてあります。
開放感があって、明るくて、結構気に入っているんですが、2点ほどネックがありまして…。
一点目は、「窓の掃除ができない」という点です。
この位の高さの窓になってしまうと、自分たちで拭くという発想すら出てきません…。
年中汚れっぱなしで、年末にお掃除屋さんに掃除してもらってます…。
ま、間近で見る様な場所でも無いのでそんなに気になりませんが…。
二点目は、「暖気が吹き抜けに上がって行ってしまう」という点です。
コレは吹き抜け全てに共通して言えることだと思いますが、天井が無いですから、冬場に暖房を入れると、暖気がどんどん吹き抜けの上に上がっていってしまうわけです。
で、うちでは、対策として吹き抜けの天井にシーリングファンを入れてるんですが、ファンが取り付けられているのは3階の天井ということになりますので、2階のリビングの床までの距離5m弱もあるわけです。
ファンが効果を発揮してるのかどうか、正直よくわかりません….。
でも実は、吹き抜けの隣が3階の寝室になってまして、吹き抜けを上がっていった熱気は3階の寝室の壁を暖めてくれることにはなってるんで、それはそれでOKなんですが(本当は寝室のここの部分の壁に小窓を作って、この小窓から寝室に暖気を取り込んだり、吹き抜けの壁に入れた窓を開け閉めしたりできるようにするはずだったんですが、建築家さんor工務店さんのミスにより、気がついた時には小窓がはめ殺しの窓になってました…。いつかDIYでもう一個小さな窓をつくってしまおうと思ってます)。
容積率とかの関係で、建てられる床面積が足りなくなってしまう、ということは珍しく無いことだと思いますが、そういった場合に、こういった開放感抜群の吹き抜けを作ってしまう、というのも1つの手だと思います。
その際には、お掃除方法(気にしない人は関係無いです)と、吹き抜けへの空気の流れについて、多少の検討をされることをお薦めします。
Photo ©emilychang