このキッチンカウンター、ちょっと良い感じだなと思ったのでご紹介をさせていただきたと思います。
まあ、何の変哲もない感じのステンレス天板のカウンターなんですけど、よく見ると手前の部分がカウンターワゴンになってるんです。
その向こう側にある据え付けのカウンターと高さをぴったりとあわせてあるので、普通に置いてある状態だと奥の据え付けカウンターと一体になった作業エリアとして使えるんですが、実際は手前のカウンターは可動式なので、必要に応じて移動させてアイランドカウンター的に使ったり、ダイニングエリアに置いてカウンターテーブルとして使用したりできるわけです。
こうやって据え付けの作業エリアとしても可動式の作業エリアとしても、どちらでもしっかりと使い易い作りにすることで、キッチン内の作業スペースに随分余裕と柔軟性を持たせられているのでは無いかと思います。
幅についても、当たり前といえば当たり前のことなんですが、奥のカウンターと高さと幅をぴったり合わせてあるお陰で、デザイン的にも収まり的にもかなり良い感じになっているかな、と。
これが、例えば奥のカウンターと手前のカウンターの幅が5cm位違ったとするじゃないですか。
たったそれだけの違いでも、見た目は相当落ち着かない感じになってしまうと思いますし、カウンター脇の壁にかけてある鍋を取りに行く時にも、何だかその出っ張りが気になったり、実際にその出っ張りにぶつかりそうになったりして、動線という面でも精神的/物理的に相当影響があるのでは無いかと。
こういう当たり前の配慮がしっかりとされているデザイン、結構好きなんですよね。
木製の本体とステンレスの天板の組み合わせも良いですね。
キッチンカウンターというのは「作業場所」なわけで、何よりも耐水性、耐熱性、耐汚染性などに優れている必要があるわけです。
ウェットな感じの木材と無機質なステンレスの組み合わせというコントラストが結構好きというのもありますけれど、実用面、特に耐久性という面で、この組み合わせは合理的で優れているといえるのかなと。
このカウンター、一見何の変哲も無い感じですが、合理的なものの持つ「美しさ」が沢山詰まっていると思いますね。
(ちなみにこのカウンター、PITHY AND CLEAVERというサイトの記者兼編集者であるMaggie Hoffmanさんという方のキッチンのカウンターでして、PITHY AND CLEAVERに載せている料理は全てこのカウンターで行われているんだそうです。どの料理もとても美味しそうで食欲をそそられる感じで、「優れた作品は優れた作業エリアから生まれるものなのかな」などど思わさせられたりします…。興味がある方は一度覗いてみてください)
( Photo ©Maggie Hoffman )