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【西日を活かす作り込み】黄金色に輝く夕暮れのベランダ



この写真のベランダ、ちょっと良い感じかなと。

西日が煌々と照りつけてますけどね…。
西日って何となく敬遠されちゃうイメージがあるじゃないですか。
確かにコレだけ西日が照りつけちゃうと、夏場なんかは相当暑かったりするのかもとも思うんですけれど、冬場は逆に貴重な日照でもあるわけで、要は作りの問題なんですよね。
太陽というのは、夏は南中高度が高くて、冬は南中高度が低いわけです。
コレを利用して季節によって日射をコントロールするのが庇なわけで。
ベランダやバルコニーなどの半屋外空間だと、結構ざっくりとした計算で庇を作ってしまうというコトもあるかも知れませんけれど、季節ごとの太陽の軌跡・高度・日射の角度と、その場所の季節・時間帯ごとの気温まで調べて考慮に入れれば、厳密に何時から何時までの日射をどうコントロールしたいか、というところまで細かく検討することが出来ます。
ソコにすだれやブラインドを組み合わせれば、西日ですらも味方につけることも充分可能なのかなと。
何よりも、日没前後までしっかり西日があたるというのは、イコール夕日が見えるということでもあるわけで、良いオトナとしてコレを楽しまないでおく手は無いのでは無いかと。
手すりの影がまるで模様のように床のタイルの目地と垂直を成してるトコロが、まるでデザインされたかのようで、またちょっと良いですよね。
コレも季節によって見え方が変わっちゃうんでしょうけどね。
と思って、今さらながら改めてちょっとおさらいを…。
簡単にいうと、「太陽が通過する見かけ上の軌跡・高度は季節によって変わり、夏至/冬至のほぼ真東→ほぼ真西を中心として、夏場は北東よりから上り北西よりに、冬場は南東よりから上り南西よりに沈む」ので(そういわれてみれば中学くらいでも習った話ですが…)、南西を基準に考えて設計しておけば、1年を通じて夕方のいずれかのタイミングではこの模様を目にすることが出来そうです(仮に真西を基準に設計した場合は、春分の日から秋分の日までしかこの模様は目にすることが出来ない…ハズ…。間違ってたらスンマセン…)。
季節や時間帯によっても結構ずれちゃうのかも知れませんけれど、こういうの細々と考えて検討したら色々と面白いモノを作り込めそうな気もします。

【開放感抜群】森に囲まれた多開口の家



ちょっとコチラのオタクを見てみて頂きたいんですけどね…。

3階建てで、双子の躯体を並べて結合させたような左右対称の形をしてます。
早速中を見ていきます。
先ず3階。上の写真の、手前に大きくせり出して見えている切妻の庇の下に、こんな素晴らしいジャクジーが。
天井にも大きな天窓が埋め込まれていて開放感抜群。バックに見えているのはワシントン湖。
上記の写真の右手に写り込んでいるのが、コチラの寝室です。
浴室の隣のベッドルームって、生活動線的に理に適っていてホントに便利で良いんですよね。
ジャクジーがある向かって右側の躯体(本当は同一の躯体なので、この表現は正しくないんですが…)は、窓も埋め込まれておらず「半屋外」的な作りになってまして、一方で、寝室があるコチラ側の向かって左側の躯体はキチンと屋内的な作りになってます。
双子の躯体を結合させたような、この上なく贅沢な作りをしているからこそ、同一フロアの中でこういった2種類の味付けを同居させて楽しむことができるのかなと。
2階にはキッチン・リビング・ダイニングがあります。
リビングは向かって左側。
広いウッドデッキのテラスが良いですね。
このテラスに出たら相当アウトドアな感じが味わえそうですが、そもそもリビングの2面の壁が全部窓になってますので、リビングの中でも、家の中に居ながらにして森の中に要るような気持ちになれそうです。
よく見ると、右の壁にさり気なく暖炉が埋め込まれてますね。
夜、この暖炉に火を入れたら、森の中で焚き火をしているような気持ちが味わえそうです。
2階は右側も同じような作りになってるんですが、こちらはダイニング・キッチンです。
ともかく、家の中のありとあらゆるトコロに開口部が作られてまして、窓が埋め込まれてます。
この開放感は相当なものだと思いますね。
ココまで見てきてふと思ったんですが、こういう家が建てられるかどうかって、結局のところは全て「立地」にかかっているんですよね。
周囲が森に囲まれたこの素晴らしい立地がなければ、こんな思い切った作りには出来ないと思いますし、暑からず寒からずの素晴らしい気候だからこそ、こんな風に窓を沢山作ることができるのかなと。
参考までに、ワシントン湖周辺ということで、シアトルの気候を調べてみました。
「穏やかな海洋性気候で地中海性気候の性質も併せ持つ」「四季あり」「カラリとした過ごしやすい夏」「夏の昼間の気温は22度から27度くらい」「冬も氷点下になることはほとんど無い」「最も寒い1月で、平均最高気温が7度、平均最低気温が2度」。
一言で言えば、「穏やかで過ごしやすい夏」と「そこまで寒くならない冬」。
夏も光を十分に差し込ませても暑くなり過ぎないし、冬もそこまで寒くならないからこそ、開口部を最大限に多く作って、ありとあらゆるトコロをガラス窓にすることができるわけです。
日本でこの作りをそっくり真似た家を建てたら大変なことになると思いますけれど、立地を考えながら、部分的に応用してみるという手はアリかもしれません。
例えば南関東の海沿いあたりで考えてみるなら、夏は確かに暑いですが、冬はそこまで寒くならないので、開口部を少し控え目にしつつ、夏場の光の差し込みをより積極的にコントロールできるように大きめの庇を活用した家にするとか。
二つの躯体を連結したような作りを踏襲して、それぞれの躯体/エリアに対して、季節と方角にあわせて暑さ寒さに上手に対応できるような味付けをしたら、結構良い感じに持っていけそうな気がします。
最終的には日本の伝統的な家に近づいて行きそうな気もしますが、そこら辺との折衷案的なモノを考えることが出来たら、面白い家を作ることができるかも知れないですね。
( via DesignRulz )