良いなと思った家や内装、家具など」カテゴリーアーカイブ

ベイカーブロックのロフトに置かれた重厚な屋外ソファ



こちら、アメリカ ロサンゼルスのダウンタウン、アーティストの集まる街、ベイカーブロックのロフトに置かれた屋外ソファです。

IKEAの屋外家具をこよなく愛し、実際に多数愛用している僕にはかなり縁遠そうな、重厚且つ高級感あふれる屋外家具ですね…。
このソファ、ソファというよりも、(超高級)デイベッドの様に見えてしまってなりません。
このソファが自宅にあったら、毎週末このソファの上でお昼寝をしてしまうと思います。
きっと、本当のベッドで寝るよりも気持ちが良いのではないかと。
冬でも、天気の良い日であれば、そして、肌触りの良い厚手のブランケットでも一枚あれば、お昼寝できてしまいそうな気がします。
最高に羨ましいです。
がっちりとした重厚なソファフレームは、恐らく屋外家具の定番、チーク材でしょうか。
チークの無垢素材を使ってコレだけのしっかりとしたソファフレームを作ったら、それだけで相当な値段になりそうな気がします(余計なお世話ですが、そーですか…)。
クッションについての詳細はわかりませんが、年に数日しか雨が降らないと言われるカリフォルニアという土地の気候を考えると、低反発系などの特別な防水性、耐水性、耐久性を持ったクッションを用いているのでは無く、ごく普通の屋内用のクッションを使用しているのかもしれません。
仮に、雨の多い日本国内で、こういった「高級屋外ソファ」を屋外に設置することが現実的かを考えてみたのですが、答えは恐らく「アリ」なのでは無いかと。
コレほどのしっかりとしたソファであれば、季節や天気によって屋内に移動する、というのは現実的には不可能と思います。
なので、基本的に「雨ざらし」になるわけですが、コレが例えば、重量5kg程度のシンプルな屋外ベンチであったとしても、屋外家具を天候状況に応じていちいち屋内にしまう、ということは、日常生活の中では煩雑過ぎてできないでしょう(僕のウチがまさにそうなのですが、やはり出しっぱなしです)。
要は、気候の問題では無く、メンテナンスの問題だと考えるわけです。
そもそもチーク材は油分を多く含んでおり、古くから船舶用材としても用いられてきたほど耐久性、耐水性に優れていますので、適切なメンテナンス、お手入れさえしていれば、常時屋外に出しっぱなしにしていても大丈夫なはずです。
屋内で使用するのであれば、オイルやニスも不要と言われていますが、さすがに屋外家具として使用するのであれば、長く使用するためには最低限のメンテナンスは必要と思います。
それでも、年に2回程度、適したオイル類やキシラデコールなどを塗る、というメンテナンスを行えば十分だろうと思います。
なので、後はお金の問題さえ何とかすれば、僕のウチにも、こんな感じのソファを導入することは可能なはずなんですが…。
Photo ©ricardodiaz11

パラパ – 壁の無いオープンサイドのダイニング 



これは全く偶然なんですが、前回紹介したイギリスのパッシブソーラーハウスのサンルームに続きまして、今回は「夏に涼しい」パッシブソーラーハウス、メキシコ南西部のパラパ、壁の無い茅葺屋根の家のダイニングキッチンをご紹介したいと思います。

独身時代、良くインドネシアのバリ島にサーフトリップに行ったのですが、バリ島の安価なホテル、ロスメンなどにも、こんな感じのダイニングが設けられていることが多かったですね。
バリのホテルやロスメンは、大抵は中庭にプールがあって、そのプールを囲むように、こういったオープンサイドのダイニングが配されています。
朝食前にサーフィンに行って、帰ってきたらプールで泳いで潮を流して、そのままダイニングに入って朝食をとって、という感じで始まる一日が、とてものんびりとした良いリズムで、心も体もリフレッシュできた記憶があります。
話が脱線してしまいましたが、前回のイギリスのガラス張り屋根のロフトが、「冬の暖かさを求めたパッシブソーラーハウス」だとすれば、こちらのパラパは、「夏の涼しさを求めたパッシブソーラーハウス」の一例と言えると思います。
考えてみれば当たり前の事なのですが、パッシブソーラーハウスの様な、「その土地の自然環境をうまく利用する」住宅の特徴というのは、そもそもが、地域地域の持つ気候特性に応じて発展してきた伝統的な工法が実現する機能や特徴と似通っていたり、または同じである部分が多いのだと思います。
このパラパはラテンアメリカの伝統的な住居の一つなのですが、前回、イギリスのロフトのサンルームを見た時と同じように、この写真の撮られた場所、メキシコ ハリスコ州ヤラッパの気候を調べてみたいと思います。
ヤラッパにほど近い、同じハリスコ州の州都グアダラハラの気候を見てみますと、春から秋は平均最低気温は15度前後を上回り、平均最高気温は20度台後半から30度前後です。
平均気温が最も低い1月であっても、平均最低気温が10度前後、平均最高気温は24度前後と、冬の時期を含め、一年を通じて非常に温暖な気候であることがわかります。
また、降水量は、雨の多い6月から9月の4ヶ月間は月間200mm前後とかなりの量の雨が降り、それ以外の季節は月間で20mmを下回る程度にしか雨が降りません。
この様に温暖で過ごしやすい気候の中で、大きな庇によって南中高度の高い夏の太陽からの日差しを防ぎ、壁が無く通風の良い茅葺きの建物というのが、「暑さを遮る」住宅として重宝され普及してきた、という背景が良く理解できます。
これに対し、日本の気候について少し考えてみます。
日本列島は東北から南西に掛けて細長く国土が広がっていますので、同じ日本国内といえども、地域地域で気候区分も異なり、平均気温にもかなりの開きがあります。
その国土全体を考えてみても、沖縄などの南部の一部の地域を除いて冬はかなり気温が下がりますので、このパラパの様な住居を日本国内の住宅にそのまま適用するのは正直難しいかと思います。
ただし、「全く同じ目的、機能を求めて」用いるのでなければ、この様な様式の建物も、家の中の「面白みのある場所」として作り込むことは可能かもしれないです。
夏場は当然、その特徴である「夏涼しい」ダイニングとして利用することが可能ですし、例えば、関東以南の、冬でも日中の気温が5度から10度程度まで上がる地域であれば、ストーブや屋外暖炉などの暖房設備を併設することで、一年を通じて活用できる屋外ダイニングとして利用することは可能かもしれません。
日本の伝統的な建具である障子や襖を用いた囲い(壁)を作って置いて、夏場は開け放し、冬場は閉じて、ということによって気温の変化に対応する、というのも一つの手の様に思えますが、そうすると、まさに日本の伝統的な建物の建築スタイルに近い形になるわけです。
いっその事、ガラス張りのサンルームの様な屋根の上に、取り外せる様に萱葺き屋根をかぶせておいて、春先から秋にかけては茅葺屋根のパラパとして、冬場は取り外した茅葺き屋根を壁として用いて、茅葺き「壁」のあるサンルームにしてしまう、というのはどうでしょう(なんの検証もしていない妄想ですので…)。
Photo ©ehoyer