浴室の天窓と浴槽の位置関係



天窓がある浴室のお話、今までに何度か書いたことがあるんですが、コチラの浴室…。

惜しいですね…。
このバスルーム、雰囲気はかなり良いと思うんですけれど、とても残念な箇所もありますね。
「こうしておけば良かったのに」的な部分もありますので、ちょっと簡単に見ておきたいかなと。
まず、ブラウンをベースとした全体的な雰囲気、コレはなかなか良いのでは無いかと。
茶色いタイルも落ち着いた感じでリラックスできそうですし、木の板張りの斜め天井もいい感じです。
ですが、天窓の位置がいただけないですね…。
正直言って、この位置では、単なる「明かり取り」の窓にしかなりません。
湯船に浸かっていても、頭の真上にある天窓からなんて、そんなに色々なものは見えませんから…。
浴槽の中でリラックスして斜め45度くらいを見上げたときに、視界に収まっているのはトイレの向こうの茶色いタイルの壁ですから…。
もしも、浴槽に浸かって天窓から夜空を眺めたいのならば、浴槽は天窓の真下ではなく、天窓の斜め下、つまり、斜め天井の面から下ろされた垂線の方向になければいけないわけです。
でも、浴室に斜め天井+天窓を持ってくると、どうしてもこのレイアウトになってしまうんですよね…。
天井が斜めに下がっている側には、その両脇の壁含めて扉が作れません。
なので、特に意識しないでいると、どうしても、斜め天井の下に浴槽やトイレを設置するレイアウトになってしまうわけです。
斯く言う僕のおウチのお風呂も、斜め天井の天窓の真下に浴槽があります…。
で、それを避ける方法というのは、「斜めになっていない、天井の高いエリアの真下に浴槽を設置する」ことになるわけです。
ちょっとGoogleSketchUpを使って、絵を書いてみたいと思います。
まず、幅3m,奥行き2mの、こんな感じのバスルームがあったとしまして、
で、上の写真にもあるような、天井が低くなっている部分に浴槽を設置するレイアウト、というのは、こんな感じになります。
相当手を抜きましたが、グレーの部分が浴槽のイメージです…。
で、このレイアウトで、出入口の扉やシャワーエリアはどうなるか、といいますと、
これも相当手を抜きましたが、右側のグレーの部分がバスルームの入り口、奥の白い部分がシャワーエリアのつもりです。
この上記のレイアウトだと、動線やシャワーエリアの設置には問題が無いんですが、角度のついた天窓を、さらに真横の方向から眺めることになるわけで、当然浴槽に横たわっても天窓からは何も見えない(見えづらい)、という問題が出てくるわけです。
で、それを解消するためにはどうするのが良いか、といいますと…
こうするのが良いのかな、と。
斜めになった屋根の向きに浴槽の長辺が沿う様に、浴槽の向きを90度回転させてみました。
こうすることで、浴槽に横たわったときに、天窓から空が見え易くなるはずです(絵の左手のグレーの部分が出入口、奥の白い部分がシャワーエリアのつもりです)。
このレイアウト、出入口の問題もありませんし悪くないと思うんですが、一つだけ問題があります。
天井の斜め度合いによっては、シャワーエリアの高さが上手く確保できない可能性があるんです。
ここについては、「座って体を洗う」のを前提としつつ、ハンドシャワーの設置場所をしっかりと検討して、場合によっては、斜め天井の途中にオーバーヘッドシャワーを設置するなど、細かい部分で調整をしていけば大丈夫なのかな、と。
こうやって考えていくと、「天窓のある浴室の場合、まず浴室の中の各種レイアウトを決定してから天窓の位置を決める」が正解ということになります。
つまり、天窓の場所を確定して建築確認申請を出す前の段階で、まず浴槽とかシャワーエリアの配置を決定しておかなければならない、ということになるわけです。
実際には、浴室の中のレイアウトを詰め切る前に窓の位置を決めて確認確認申請を出してしまう、というパターンは十分にあり得ると思います。
この段取り、予めわかってさえいれば大丈夫だとは思いますが、わかっていなければ結構ハードルが高いのでは無いかと…。
結局最後は計画性がものをいう、ということなんでしょうか…。
Photo ©jolisoleil

無垢木材とガラス、無垢木材と鉄



今まで、これ自体をメインの話題としたことは多分無いと思うんですけれど、他の何かについての話をしている間に、何度となくこの組み合わせについて触れたことはあると思います。

テーブルの無垢木材製の天板の上に、ガラス製のボトルとステンレス製のカップが置かれているだけの、何の変哲も無い「テーブル上の風景」なわけですが、この雰囲気、僕は好きですね。
何が良いのか、という辺りを理論的に説明するのはちょっと難しいんですが。
無垢の木材という有機物と、ガラスや鉄という無機物の組み合わせが良いんですかね。
木材の「柔らかさ」と、ガラスや鉄の「硬さ」のコントラストが良い、ということなのかもしれません。
上の写真は、無垢素材のカウンター天板とステンレス製のテーブルの足の繋ぎ目部分のアップなんですが、このコントラスト具合が、この組み合わせの魅力の一つなのかな、と。
ともかく、この組み合わせ、ものすごく一般的な組み合わせながらも、どんな部分にでもしっかりとマッチする最高に素晴らしい王道の組み合わせだと思います。
王道過ぎて却って忘れてしまい勝ちなんですが、家を建てたり、内装やインテリアについて考える際に、しっかりと思い出すように習慣づけておいても損は無いと思います。
たとえば、非常によくある外装のパターンで、ガラスと無垢の木材を組み合わせると、こんな感じです。
しゃっきりとしたイメージの中にも柔らかさのある、何とも言えない良い感じの雰囲気が出てきます。
ファサード系だと、こんなのもありますね。
ガルバリウムの無機質な感じに無垢の板、という組み合わせ、中々良いと思います。
キッチン周りだと、無垢素材のカウンターとステンレスの調理器具、という組み合わせが頻繁に出てきますね。
使えば使うほどに雰囲気の出てくる天板と、いつまでもビカビカと光沢を放つステンレスの組み合わせ、というのも良いです。
番外編では、こんなのもあります。
バスタブだそうです。
鉄って言うのはバスタブに適してるんですかね…?
熱伝導率が高すぎて、機能的にはイマイチな気もしますけれど、見た目は中々だと思います。
「王道」と言いましたが、無垢素材、ガラス、鉄、という素材の組み合わせなわけで、合板とかペンキとかクロスとか、現在の建築資材の中で、本当に一番よく採用されているものだけで内装を仕上げてしまうと、この組み合わせが得られ無い可能性も高いです。
そういった意味では、現代の住宅にこの組み合わせを取り入れたいのであれば、ある程度「能動的に」この組み合わせを求めていかないと、結果として、「家の中のどこの部分にもこんな感じの組み合わせ、こんな感じの雰囲気が無い」、ということは十分に起こり得ますので、ご注意ください。
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