隣接する空間同士のギャップ



このベッドルーム、何だかとっても良い感じじゃないですか?
黄色のお花柄の壁紙はちょっとやりすぎちゃっている気もしないでも無いですが、落ち着いたイエローとグレーがなかなか良い感じに組み合わせられているのではないかと。
色使いも良いなとは思うんですが、奥に見えるウォークインクローゼットもかなり「良い感じ」ですね。
ベッドルームとの雰囲気のギャップが、結構普通の感じのウォークインクローゼットを、何だかちょっと魅力的な「不思議な場所」に見せているような気がします。
30年以上も前、まだ「ウォークインクローゼット」という言葉が一般的で無かったころ、ウチの実家にあった納戸を思い出しますね。
古い家には何かしらそういった納戸的なスペースがあったと思うんですけれど、部屋の様で部屋でない何だか「非日常的な」感じをもつその空間を、幼心にもとても面白く感じていた記憶があります。
この写真を見ていて思ったんですけれど、ウォークインクローゼットを単なる機能的な空間「だけ」として作らずに、プラスアルファの「何か」を持たせることを考えると、色々と面白くなるのではないかな、と。
当然機能的で無いと困るのでそれは大前提なんですが、それだけでなく、「遊びココロ」を兼ね備えた空間にした方がいいと思うんですよね。
この写真で言えば、脳内お花畑みたいなイエローをふんだんに使ったベッドルームの雰囲気と、その向こうにある機能的なウォークインクローゼットとのコントラストがその面白さを現しているのではないかと思います(コレは実際にはウォークインクローゼットの面白さではなく、寝室の面白さに依存しているものなわけですが…)。
「このクローゼットに入って行ったら何があるんだろう?」と思わせるような「場所」を作ることで、隣接する別の空間も面白くなっていくのかな、と。
そういった見た目的な話だけでなく、機能的な面でも「ギャップ」や「遊びココロ」をもたせるのは面白いと思います。
例えばこのクローゼットに入って行ったら、一部が書斎になってたらちょっと面白いですかね。
基本は衣類とかカバンとかそういったものの収納空間なのに、実はテーブルと椅子とPCとかも置いてあって、ちょっと自宅で仕事がしたい時とか、一人でじっくり本を読みたい時なんかに籠もれる「小さな隠れ家的空間」になってるとか。
そういう意外性や面白さがあるおウチというのは、住んでいても楽しいと思いますし、模様替えとかレイアウト変更なんかをする際にも、色々と選択肢も広がって面白い様な気がしますね。
「何を作ったら面白いか」というのは人それぞれ違うんでしょうが、「何かプラスアルファを持つ空間を作りたい」という気持ちがあれば、そこには単なるウォークオンクローゼットでは無い「空間」を作ることができるのでは無いかと思います。
元ネタのサイトでは色々なタイプのウォークインクローゼットが紹介されていましたので、興味のある方は是非覗いてイマジネーションを膨らませてみてはいかがでしょうか。
( via skona hem )

無垢素材の持つ魅力



これはとても当たり前のお話なんですが、家具にしても床材にしても、いまどきは合板というとてもリーズナブルで使い勝手の良い素材があります。

一方で、無垢材への支持というのも根強く、多少価格が高くとも(多少どころではない?)無垢素材を使用することにこだわり続ける方が多いのも事実です。
で、この無垢素材ですが、「塗料や接着剤を使用していないので、人体や環境にやさしい」であるとか、「木材は生きているので、湿気を吸ったり吐いたりして調湿作用がある」だとか、色々なことが魅力として挙げられたりするんですが、僕の考えている無垢材の魅力はそういったものとはちょっと違います。
ちょっと違う、といいますか、本質的には同じことになっていくのかもしれないんですが、僕は無垢材の魅力というのは、その「耐久性」であったり、「経年変化していったその後の魅力」あたりなのかな、と感じています。
たとえばうちの自宅の床は、ウォルナットの無垢材を使用したフローリングです。
小さな子供がいますし大人も色々としでかすので、日々いろいろなところに傷や凹みがついたりしていきます。
年を重ねるごとに汚れも付いていきますし、人が頻繁に歩く箇所は色が濃くなっていったり、という変化もあります。
でも、無垢素材だと、そういった傷や変化も、なんというかフローリングのデザインの一部になっていくような気がするんですよね。
この汚れや傷や色の変化が積み重なり続けて、例えば10年20年経った後でも、フローリングとしては変わらず「現役」でいられるような気がしますし、そういった傷の類も家の「魅力」の一つにすらなっていくのではないかとすら思います。
ちょっとうちのフローリングの写真を使って「20年後」の未来イメージを作ってみました。
僕の自宅はまだ築5年くらいなんですが、フローリングは傷と汚れが付き捲りです。
で、それを写真の上で「エイジング処理」をして、汚れや傷の箇所を更にくすませたりしてみました。
なんだか古い小学校の床みたいで結構魅力的かな、と。20年後、こんな床になっていたらそれはそれで良いなと思います。
もしも仮に床材が合板とか合成○○的なものだったとするとどうなんでしょうか。
そういった床は新築当初はきれいでしょう。
でも、床に着いた傷や経年変化、変色なんていうものは「魅力」とはちょっと違うのかな、と。
20年経ったときに、床材を丸ごと新しく張り替えたりしたくなってしまうのではないかな、と。
この違いこそが、最大の「無垢素材の魅力」なのではないかと思うんですよね。
家を建てたときがピークなのではなくて、実際に人が住んで、その生活の痕跡が追加されていくことで、更に魅力的になっていくという、オーダーメイドのスーツのような、そういった変化を楽しめるというのが無垢素材の魅力なのかな、と。
そして、そういったものを素材として用いるからこそ、その家に住んで20年後、誰がどうやってそこで暮らしているのか、自分たちの生活はどうなっているのか、子供たちはどんな大人になっているのか、というあたりまでをイメージすることにもつながるのではないかと思いますし、だからこそ「どんな家を建てるのか」という、根本のコンセプトにも一本芯が入るのではないか、なんてことまで考えたりもします。
ま、考えすぎといわれてしまえばそこまでなんですが、「20年後も使える○○」というのが、20年後の未来の色々なものをイメージするための「呼び水」になるというのは事実だと思いますし、家という長く使うものにはそういった「イメージ」が必要なのではないかと思います。