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大きな窓のある明るいバスルーム



コチラのお風呂場、かなり良い雰囲気です。

ぱっと見、なんの変哲も無い「ちょっと良い感じ」なバスルームと思ってしまいそうですが、実際にご自分が住んでいるお家やご自分が建てたお家と比較してみていただくと、「かなり良い感じ」だと思われるのでは無いでしょうか。
限りある「スペース」という資源のなかで、お風呂場にこれだけのゆったりとしたスペースを割くことは結構厳しいと思いますし、実際のところ、「洗い場とシャワーとバスタブを押し込めただけ」のお風呂場になってしまうケースの方が圧倒的に多い、というのが現実だと思います。
ではこのお風呂が実際にどの程度の「余裕のあるスペース」を使っているのかをちょっと考えてみたいと思います。
写真だけからだと正確なことはいえないんですが、少なくとも標準的な日本のお風呂と比べると、余裕のある造りをしていることは間違い無いのでは無いかと。
日本のお風呂の「最も余裕が無い」パターンといえばユニットバスになるわけです。
ひとり暮らし用のマンションなどにあるタイプだと、内寸160cm×160cmの一坪タイプや、更にその下の内寸160cm×120cmの0.75坪タイプというのもあります。
で、ユニットバスの中でも、「そこそこ大きい」サイズで考えてみますと、1.25坪タイプが内寸160cm×200cm、もうワンサイズ上が既製品で最も大きい位のものになり、1.5坪タイプで内寸160cm×250cmというサイズになります。
1.5坪タイプまでいけば、ユニットバスとはいえ、それなりの広さと開放感がある感じになると思います。
で、こちらの写真のお風呂はというと(写真ではバスルームの全容がわかりませんのでなんとも言えないので、想像を交えて考えてみます)、仮にこの写真の左右がいきなり壁だったらこの雰囲気は台無しなわけで、バスタブの左右に、最低でも各50cm位の空きスペースは欲しいところです。
すると、バスタブの幅が大きめにみて180cm(日本のお風呂は160cm位です)として、バスルーム全体の幅は230cm。ちょっと切り上げて250cmとしてみます。
で、奥行きですが、バスタブ幅が大きめにみて100cm(日本のお風呂は80cm位)、足拭きの置いてあるあたりが余裕を見て100cm、でその手前にさらに余裕スペースで50cmから100cm位あればこんな感じなのかな、と。
すると、バスルーム全体のスペースとしては、大きめにみて2.5m×3m、7.5平方m、約2.3坪/5.5畳といったところでしょうか。
コレが内寸の値で、上記の1.5坪タイプの倍弱の広さということになりますので、外寸としては3坪弱という位になる計算です。
3坪のお風呂といえばかなりの贅沢なお風呂という感じですが、数字で比較すると、日本の一番大きなユニットバスの約倍、専有面積にして1.5坪広いということになります。
でも、この位の余裕があれば、作り様によっては脱衣所をこのスペースの中に持ってくることが十分できると思いますので、「(脱衣所の広さを含まないで1.5坪を占有する)広めのユニットバスとの差」を縮めることもできます。
また、まとまった1つの空間にすることで、浴室乾燥機などの設備と組み合わせて、他の場所に作る予定の物干しエリアなどを取り込むなど、全体としてのスペース効率化を考えることもできそうです。
1.5坪の違いをどう考えるか、という部分が住む人の価値観に関わってくるわけですが、「お風呂タイムを重要視したい」という方であれば、そこまで極端な違いでは無い様にも思えますね(全く逆の考え方をするならば、その1.5坪/3畳の部分をクローゼットにしたり、リビングを広くしたり、ということに充てるという考え方になるわけですが)。
このバスルームの雰囲気には広さ的な余裕が影響していることは間違いないとは思いますが、この雰囲気、それだけでは無いのでは無いかと。
窓がいいです。
これだけ大きな窓を作れると、開放感が断然違ってくると思います。
お風呂場の窓はプライバシーの問題などにも関わってきますので、大きな窓を作るということに躊躇してしまうかもしれませんが、バスルームを外から容易に見られない様な配置に持ってくることが出来ればそういった問題の多くは解消できますし、この写真のバスルームの様に、必要に応じてロールカーテンなどでしっかりと閉じることが出来れば、それほど気にしなくても大丈夫な気もします(でも、ロールカーテンは湿気を巻き込んでカビたりしそうな気が…)。
この位開放感がある窓があれば、もしかすると天井がちょっと低めでも、それが却って面白い雰囲気になるかもしれませんので、階段下やロフトなどの「屋根が低くなってしまう」場所を上手く使うという手もありかもしれませんしね。
Photo ©little.greene

浴室のニッチとお風呂タイムの安心感



コチラのお風呂のニッチ、良いですね。
こういうのもニッチと言うのかどうかよくわかりませんが、ま、壁を繰り抜いて作ってあるので、これもニッチのうちに入るのかなと。
僕はニッチというもの自体がそもそも好きなんですが、それを浴室に作るというのは、普通にリビングやダイニングにニッチを作る以上の意味があるかな、と。
考えてみると、シャワールームなどにこういったニッチがあるのって、別にそれほど珍しくなくて、今までにも何度も見かけたことがあるんですが、ではなんで、作り付けの棚では無くてニッチにするのか、というと…。
それはやはり、まずは「すっきりするから」なんだと思います。
浴室とかシャワールームというのは、余程豪華な造りをしている場合を覗いて、それほど広々としたスペースでは無いのかな、と。
別に、「必ず狭い」と言っているわけではなく、大体のケースにおいては「必要にして十分な」広さになっているのでは無いかと思うわけです。
で、そういった場所にあまり大きめの棚なんて作ってしまうと邪魔になるわけで、石鹸とかシャンプーとか、シャワーを浴びながら使いたいいくつかの小物を置いておくために、棚ではなくニッチを作る、というのは非常に合理的な発想なのでは無いかと。
そういった意味では、リビングやダイニングに作ってあるニッチも、「面白さ」と同時に「すっきりしたデザイン」を目的にしている場合も多いわけで、根っこは同じ、という様な気もします。
で、ニッチを浴室に作ることには、更にもう一つメリットがある様な気がしてまして。
お風呂って、裸になってシャワーとかを浴びてリラックスする場所なわけです。
で、そこに棚があって、それが何かの折りに剥き出しの皮膚にあたったりするのって、想像するだけでもイヤですよね。
目を閉じて頭をシャンプーで洗っていて、ちょっと姿勢を変えたら二の腕あたりに棚があたる、とか、そういったことが「起きそう」と思うだけでも、随分リラックス度合いを下げてしまうのでは無いかと。
逆に言えば、棚が無いことで、その分「お風呂におけるリラックス度合い」が上がる、というメリットがあるような気がするわけです。
コレは「すっきりしている」という点の延長線上にあると思うんですが、「すっきり」が浴室やシャワールームでは更に意味を持ってくるというか何というか…。
でも、せっかく浴室にニッチをつくってすっきりさせるんだったら、なんでシャワーを浴槽の上につけちゃったんですかね。
ココだと、バスタブのヘリとかも気になるし、そもそもバスタブの傾斜とかも少し気になっちゃうじゃないですか。
しかも、シャワー自体は、贅沢にも据え付け型のシャワーとハンドシャワー、2個もあるのに…。
狭くてもいいので、シャワーは浴槽の隣にシャワールームを作ったほうが良かったと思うんですけど。
と思ったら、このお風呂、こんなレイアウトでした…。
これでは仕方なかったのかな、とも思いますけど、トイレの配置をちょっと考えて、手前側にシャワーエリアを作っても良かったかも、とも思います。
で、周辺には棚とかは一切作らないで、必要なものを収めるニッチだけを壁にいくつか作って、周りには邪魔になるものが極力無い様にしたら、随分とシャワータイムのリラックス度合いも上がったのでは無いかと思うんですが…。
その方が、見た目的にも面白い感じになりそうな気がしますし。
ちなみにこのニッチ、水や石鹸水が溜まって汚れたりカビが生えたりするのを抑制する様に、手前に向けて緩やかな傾斜をつけてあるそうです。
ニッチを作る場所も、シャワーが届く範囲なので、水で流してお掃除するのも簡単ですし(でも、この位置だと、シャワーの水が直接かかって水が溜まったりして、それが少しストレスになりそうな気もしますので、もう少し場所をシャワーよりにするとか、そういったことを考えても良さそうです)。
当たり前のことなんでしょうか、そういった細かいところをキチンを考えておくことも大事ですよね。
浴室やシャワールームにニッチを作るのも、作り方や場所についてちょっとした考慮をするのも、建築家さんや工務店さんが提案してくれないことは十分ありえますので(彼らもいちいちニッチとか作りこむのは面倒くさいと思う可能性は否定出来ないですから)、油断せずに自分で考えることが重要なんでしょうね。
でも、そもそもユニットバスじゃニッチは作れないかな…。
Photo ©pkingDesign